【涙と笑いの酒人生】


 鈴木康博さん
 (シンガー・ソングライター/元オフコース/78歳)


  ◇  ◇  ◇


 80年代の日本の音楽はシティーポップと呼ばれ、今や世界的に人気になっている。高校の同級生だった小田和正さんと鈴木康博さんの2人でスタートさせたオフコースも、そのど真ん中のグループ。

83年からソロ活動を続けている鈴木さんに当時から今に至るミュージシャン生活のお酒にまつわる話を聞いた。


■東工大時代に飲んだコークハイが最初のお酒


 飲むようになったのはやっぱり大学(東京工業大学)に入ってからですね。デキシーランドジャズクラブというサークルに入って、ベースを弾いていたんですけど、演奏会の後には打ち上げがあり、その時にコークハイを飲んだのが最初かな。あの当時だから、飲め、飲めといわれてお定まりの悪酔いです。


 場所は新橋。どんどん飲まされて、自宅は横浜だったけど、酔い潰れてどうやって家まで帰ったのか覚えていません。どうにか部屋には辿り着いていたけど(笑)。


 あの頃、ビールをおいしいと思ったことはなかったですね。そのうちヤマハの音楽教室に通いながら、弾き語りのアルバイトを始めました。弾き語りの店というとリクエストは演歌というイメージだけど、そこは英語の歌もいいよという店で当時、流行っていたジェームス・テイラーとかを歌ったりしていました。


 当時としてはオシャレなバーでした。客筋もよくて歌い終わるとお客さと一緒に飲もうとなって、夜中まで飲むことも多かったですね。

酒量も増えました。お酒の種類も多くて、ズブロッカとかロンリコなんかも飲んでたかな。


 オフコースは70年にデビューして79年に「さよなら」がヒットするわけだけど、ヤンチャだったというか、無茶飲みしたのは20代前半だったと思います。その頃、メンバーは5人ですが、オフコースのメンバーとではなく、友だちと飲むことが多かった。グループが売れ始めたのは20代後半。そうなると地方回りが始まります。グループでツアーをやるようになると外に出ることができなくて、ホテルで食事をするだけということが多かった。小田も含めて、みんなで飲んだ記憶はあまりないですね。


■飲みにケーションの時代


 僕がよく飲むようになったのはソロでやるようになってからです。ライブが終わると、ミュージシャンの人と飲みますからね。当時はバブル。飲みニケーションの時代で、予算もあったからね。

経費でパッとやろうという感じだったと思います(笑)。ビールに始まってワイン、ウイスキー、コニャック、最後はロンリコで終わりみたいな感じでしたね。


 今は日本酒をよく飲んでいます。最後に飲みたい酒は何かと訊かれたら、日本酒の大吟醸とか、純米大吟醸。もしくは白ワインの切れのある辛口ですね。家飲みは滅多にしません。お寿司屋さんとかお蕎麦屋さんで、ゆっくり食べながら一杯やりたいです。


 最近はライブの終わりに流れで飲みに行くということもないです。飲みニケーションがないのは寂しいですね。



■高校同級生の小田和正と電車の中でヤンチャを

 小田との出会いは電車の中です。高校は進学校でしたが、彼はいたずら坊主でね。ばったり会ったら彼が電車の中でいたずらしていた。

当時の電車は運転席と客席の境がなく、足を伸ばすと運転席の警笛を鳴らすことができた。トンネルの中に入るとプーッと鳴るから誰がやっているのかと思って前まで見に行ったわけです。そうしたら小田が3人くらいの仲間とやっていた。


 それで俺にもやらせろと言って、やってみたのですが、その時が彼の存在を最初に認識できた時です。彼との関係はそこから始まりました。


 一緒にやったのは13年間。ソロになったのはグループとは音楽性が違うと思うようになったからです。そしてオフコースを抜けて40数年になります。


 3月21日と27日に神奈川と大阪でシティポップのライブをやります。出るのは2回目です。僕の曲がシティポップに入るとは思っていなかったのですが、70年代の終わりから80年代に作った曲が認められたということなのかな。


 来てくれるのは青春時代をともにした人たちだと思うし、みんなで一緒に盛り上がりたいと思っています。


(聞き手=峯田淳)


▽鈴木康博(すずき・やすひろ) 1948年生まれ。高校(聖光学院)の同級生だった小田、地主道夫らとグループを結成、大学在学中も音楽活動を続け、デビューは70年の「群衆の中で」。72年には小田と2人組、その後5人になり、82年にオフコースを離れ、83年ソロデビューした。「シティポップ・スタジオ・ライブ Vol.3」を3月21日(土) 17時30分 パシフィコ横浜 国立大ホールにて、同27日 18時半 NHK大阪ホールにて開催。出演は鈴木康博、林哲司、EPO、国府友里恵、杉山清貴、杉真理、南佳孝、マリーン、山根康広、松尾一彦。


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