【あの頃、テレビドラマは熱かった】


「Summer Snow」
 (2000年/TBS系)


  ◇  ◇  ◇


 1970年代にドリフやコント55号や伊東四朗&小松政夫でゲラゲラ笑っていた少年が、当時は「車は空を飛んでいるはず」と思っていた2000年。実際のところ、新宿・歌舞伎町では「30分はっっっぴゃくえん!」を連呼するテレクラの呼び込みが夜中まで響き、公衆電話にはアイドルの写真を無断使用した怪しいチラシがびっしり貼られていた。

パチンコ屋の自動ドアが開くたびに電子音やマリンちゃんの「やったー♪」が聞こえていたミレニアム。


 この年のドラマは、1月期にあのスーパースターが美容師を演じて最終回視聴率41.3%。10月期は「男は金よね」と言ってたスッチー(今はCA)が魚屋さんに落ちて最終回34.2%。


 つまり恋愛ものに始まり恋愛もので暮れた。いや、他のジャンルのヒット作もあるけど、この2作が突出していたので、“恋愛当たり年”と勝手に認定する。


 そんな年の夏に放送されたのが、TBS金9の「Summer Snow」。90年代半ばから日本テレビ土9とTBS金9を行き来していた堂本剛(当時21)が主演の、切ないラブストーリーだ。剛が演じたのは両親を事故で亡くし、サイクルショップを継いだ長男・夏生。で、相手となる信用金庫職員で心臓に病気を抱えるユキを演じたのが広末涼子(当時20)。“旬”ど真ん中のアイドルによる“昭和チック”なメロドラマだった。プロデューサーの伊藤一尋さんと脚本の小松江里子さんの“めおとコンビ”は、剛の繊細な魅力の引き出し方がうまい。


 ただ、主題歌が残念。

KinKi Kidsの10枚目のシングル「夏の王様」が、ドラマの内容とリンクしていなかった。だってこの曲、「オエーオエー♪」で始まる明るいサマーチューンだもの。制作側も入れどころを工夫していたようだけど、衝撃的で泣ける最終回での入り方はいかがなものか、だった。


 別に「夏の王様」もKinKiも悪いわけではない。でも、「ビューティフルライフ」のB'z、「やまとなでしこ」のMISIAと比べると、明らかに「CD売りたい」という事務所のごり押しを感じたのを覚えている。そうそう、剛の弟役で小栗旬(当時17)も出ていた。耳が不自由で「たちつてと」がうまく発音できない設定を完璧にこなしていた。兄に必死に思いをぶつける場面で「この子すごい」と思っていたら、後に花沢類になるわ信長になるわの大ブレーク。


 旬のアイドル共演の中で“次の旬”(小栗旬だけに)も捉えたドラマだった。かえすがえすも、KinKiの主題歌だけ惜しい一作だった。でもなぜか、恋愛当たり年の中で強烈に印象に残っている。


 (テレビコラムニスト・亀井徳明)


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