米国とイスラエルが仕掛けた対イラン軍事作戦は、やはり長期化の様相だ。トランプ大統領は9日(現地時間)、攻撃開始後初めて会見。

「すぐに終わる」と早期終結の見通しを示したものの、極めて怪しい。同じ日に「イランがホルムズ海峡で石油の流通を妨げる行為に出た場合、これまでの20倍の力で報復する」とSNSに投稿するなど、発言は矛盾だらけだ。5年目に突入したウクライナ侵攻をめぐり、やり込められっぱなしのロシアのプーチン大統領を頼ったことも判明。出口が見えるわけがない。


 トランプ大統領の言動に一貫性がないのは今に始まったことではないが、車社会の米国市民が敏感に反応する原油価格の高騰に泡を食っているのはアリアリだ。米原油先物は一時、1バレル=119ドルを突破。それで、対イラン作戦を「武力侵略」と断言するプーチン大統領との電話会談が米側の要請でセットされ、会見に至ったのが経緯である。


 イランはロシアに自爆型ドローンや弾道ミサイルなどを供与し、ウクライナ侵攻を支援。ロシアは反撃するイランに米軍の位置情報を提供したと報じられた。両国は友好関係にあり、プーチン大統領は攻撃開始から1週間後、ペゼシュキアン大統領と電話会談して「さまざまなルート」での連絡継続で一致。殺害された最高指導者ハメネイ師の後継となった次男モジタバ師に対し、祝意と「揺るぎない支持」を表明してもいる。


 そうした中、米ロ首脳は1時間ほど会談。

トランプ大統領は「良い話し合いだった」と強調し、作戦について「彼は非常に感心していた」と自慢。プーチン大統領から協力意向が示され、「〈ウクライナとの戦争を終結させることで、もっと協力できる〉と伝えた」と胸を張っていたが、仲介の見返りにプーチン大統領が喉から手が出るほど欲する経済制裁の緩和を協議した可能性がある。エネルギー供給の安定と裏表だからだ。


「原油の流通停滞はアジアのみならず、欧州にも影響を及ぼしています。プーチン氏の狙いはウクライナ問題で断たれた欧州向けの石油や天然ガスの輸出再開。ロシア産原油は1バレル=50ドル程度が相場ですが、中国やインドは買い叩き、2割ほど安く仕入れている。ロシアの経済成長には80ドルまで上昇させる必要があり、エネルギー取引の正常化は重要な課題なのです。一歩も引かないイランは孤立を深め、NATO(北大西洋条約機構)加盟国のトルコにまで弾道ミサイルを発射した。戦線が欧州に拡大しかねないタイミングでトランプ氏が頼ってきたのですから、シメシメです。トランプ氏が相手なら、経済環境を4年前の状態に戻し、ウクライナも思い通り運べるとほくそ笑んでいることでしょう」(筑波大名誉教授・中村逸郎氏=ロシア政治)


 救いがない展開だ。


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