【スージー鈴木のゼロからぜんぶ聴くビートルズ】#12
アルバム『ウィズ・ザ・ビートルズ』(1963年11月22日)
◇ ◇ ◇
これまで紹介してきたアルバム『プリーズ・プリーズ・ミー』は、イギリスで売れに売れることとなる。
ヒットチャート(メロディーメーカー)で1963年5月に1位となり、そこから何と30週も1位に居座り続ける。
要するに、70年代の日本における井上陽水(この人も大のビートルズ好き)『氷の世界』のような無双状態になったのだ。
ただ『氷の世界』は通算35回1位になったが、カーペンターズやかぐや姫に奪われて何度か陥落し、何度も復活している(それはそれですごいが)。対して『プリーズ~』は30週「連続」の1位なのだ。
さらにすごいのは、その『プリーズ~』を押しのけて1位となるのが、今日からご紹介するセカンドアルバム『ウィズ・ザ・ビートルズ』だということ。まぁ大変。
このアルバムといえば、このジャケット。以降、ビートルズのジャケットは名作揃い。特にイギリス発のオリジナルアルバムについては、駄作一つもなし。本当に。
というジャケットをよく見つめてほしい。ジョンの顔がいちばん大きくデザインされている。そう、このアルバムは、顔の大きさの通り、ジョンの色がとても強いアルバムである。
ジョンがリードボーカルを担当するのが6曲なのに比べ、ポールはたった3曲で、これは何とジョージと同じという少なさ(残りはリンゴ1曲と、ジョン&ポール1曲)。つまりは「ジョン・レノン・ウィズ・ザ・ビートルズ」の趣さえある。
深読みかも知れないが、このような事実と、ジャケットにおける顔面面積比率は、どうもリンクしているように感じるのだけれど。
あと、個人的には「何だかガチャガチャした音のアルバム」。前作の経験を経て、音楽的に少し成熟して、さまざまなアイデアや実験を試み始めるのだが、それらが未整理で、とっ散らかっている。
そんなガチャガチャした舞台の上で、ジョン・レノンがシャウトしまくるアルバムという印象が強いのだ。
ジャケット話に戻ると、さすがに完成度が高いと思われたのだろう、翌年(ほぼ)同じジャケットを使ったアルバムが(実質的)デビューアルバムとして、アメリカと日本で発売される(収録曲は『ウィズ~』と異なる)。アメリカ盤のタイトルは有名な『ミート・ザ・ビートルズ』なのだが、日本版のタイトルがいい。いまにも人気が爆発しそうな感じが漂ってくるではないか。その名も──『ビートルズ!』。
▽スージー鈴木(音楽評論家) 1966年、大阪府東大阪市生まれ。早大政治経済学部卒業後、博報堂に入社。

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