【芸能界クロスロード】


〈ヒートMAX──人の心を動かす『熱』が、新しい広がりを生む〉


 4月の改編期に向けてフジテレビが発表したキャッチフレーズ。外に向けたメッセージは力強いが、内部は依然、混沌とした状態が続いている。

顕著なのがアナウンサーのフジ離れだ。


 2024年、渡邊渚がPTSD(心的外傷後ストレス障害)を理由に退社。昨年は椿原慶子永島優美らに続き今年までに7人が退社していく。まさに退社ドミノだ。


 理由はさまざまだが、6月末で退社する小澤陽子は自身のインスタで「『自ら何かを創造したい』という純粋な思いが膨らんできました」とつづった。今のフジには自分の思いを実現する場がないことを言っているかのように聞こえる。


 中居正広の性加害問題に端を発して露呈したフジのいびつな体質。なかでも女子アナにとって屈辱的だったのが、「女子アナは上質なキャバ嬢」という当時の幹部の言葉だ。女子アナに憧れ狭き門をくぐって入ってきた当時の女子アナは知る由もなかったが、改めて当時の画面を思い出すと、ミニスカの似合うアイドル並みの可愛い女子アナが次々と現れた。女子アナブームの到来だった。女子アナ図鑑まで出版され関心度は増すばかり。週刊誌も女子アナのスキャンダルを報じた。

熱愛、結婚、破局と男性絡みの話だが、報じられる大半はフジの女子アナだった。


 彼女たちも心得たもので、直撃されると、「広報を通してください」とタレントのような対応をする人もいた。


「女子アナも周囲からチヤホヤされタレント気分に浸っていた部分はあった」(テレビ関係者)


 世間から注目されてもタレントと違い女子アナの旬は短い。メインの番組はタレントに追いやられ、「こんなはずじゃなかった」と思う頃には30歳。窓際に追い込まれる。


 いきおい、将来を考えるようになり、「お局さま」と呼ばれようと居座るか、結婚退社するか、またはフリーになるかの3択を迫られる。それでも、フジの女子アナは野球選手やタレント、会社経営者と大半が“玉の輿”婚に恵まれた。これも「女子アナ」の肩書の恩恵とも言える。


 一時的に家庭に入っても、「元女子アナ」の肩書で復帰はしやすい。なかでも、群を抜いて復帰してくる人が多いのが元フジの女子アナ。現在、地上波で活動しているだけでも、近藤サトはナレーターに。弁護士になった菊間千乃はコメンテーター。

高島彩はキャスターで活躍する。最近は、元フジ女子アナの「駆け込み寺」のようになっている午後の情報番組「ゴゴスマ」のパネリストには内田恭子高橋真麻、“さまぁ~ず大竹一樹の妻、中村仁美が出演している。ちなみに3人ともすでに母親。


 先輩たちの活躍を見れば、いつまでも今のフジにしがみつく必要はない。結婚しても自由に活動できるフリーを目指すのは賢明な判断だろう。


「人の心を動かす──」というフジの新キャッチは、皮肉なことに女子アナの心を退社へと動かした。


 フジに刺激を受けたのか、他局でも退社する女子アナが後を絶たない。1月いっぱいでTBSを辞めた良原安美は「新たな挑戦に向けた決断」とフリーアナを多く抱える「セント・フォース」に移籍。再活動に向け動き出した。


 日本テレビの岩田絵里奈は3月末で退社、フリー宣言。大阪・朝日放送でも1月に退社した東留伽はサンミュージックに所属。増田紗織も3月末で退社する。


 かつては憧れの職業だった女子アナも、今やフリーで活動するための肩書を取得するのが主目的になっているかのようだ。


(二田一比古/ジャーナリスト)


編集部おすすめ