【今週グサッときた名言珍言】
「お笑いじゃないんで」
(こたけ正義感/テレビ東京系「ゴッドタン」3月14日放送)
◇ ◇ ◇
現役の弁護士という異色の経歴で活躍するピン芸人・こたけ正義感(39)。コメンテーターのような仕事のオファーも少なくないが、それらは「完全に断っている」という。
当初は本名で活動していた彼が「こたけ正義感」という芸名を付けたのも、それが一因だった。彼が所属するワタナベエンターテインメントは、さまざまなタレントが所属しているため、「文化人枠」と誤解されることもあった。だから、ハッキリ芸人とわかる名前にしたのだ。髪形や眼鏡、服装もコスプレ。「芸人が弁護士っぽい格好しているっていう感覚」(テレビ朝日系「永野&くるまのひっかかりニーチェ」26年1月27日)。いわば「弁護士」という“キャラ芸人”をあえて行っているのだ。
そんなこたけが例外的に芸人として“真面目”な仕事を引き受けたことがある。それが袴田事件裁判の広報活動だ。芸人として結果も出始め、「今のタイミングなら」と受けた(ローソンエンタテインメント「ローチケ演劇宣言!」25年10月3日)。
その経験をもとに冤罪事件を題材に60分のスタンダップコメディーにした「弁論」第3回公演(24年)が大評判となった。「弁論」を始める前はフリップネタなどで賞レースでも決勝に進出していたが、「その瞬間はウケるけれど、後に残らない」と感じ、「もっと意味のある芸を身につけたい」(同前)と漫談を始め、「弁論」の形式にたどり着いたのだ。
こたけ自身は、芸人らしい体を張った笑いもしたいし、ドッキリだってやぶさかではない。けれど、そんなオファーは全然来ない。芸人になってずっと「よそ者扱い」をされてきた。「芸人の仲間に入れてもらおうと頑張ってきたけど、もう普通のお笑いの仕事にはガッツリまぜてもらうのは無理そうだから、孤独の道を行くしかない」と腹をくくったという(テレビ東京系「あちこちオードリー」26年3月4日)。
そこで導いた解が、日本ではほとんどやられていないスタンダップコメディーを極めることだった。この形式はアメリカなど海外では、むしろ主流。数億稼ぐコメディアンもいる。だから、こたけは「弁論」をいずれ東京ドームでやりたいという。そのためにはジャンル自体が盛り上がらなければならない。「大きなショーをできる人が何人も出てくるのが、僕の最終的な理想」(「ローチケ演劇宣言!」=前出)だと他の芸人にもその形式を勧めている。
まざれなければ、自らが中心になって巻き込めばいい。こたけは「お笑い」のフィールドを拡張していく。
(てれびのスキマ 戸部田誠/ライタ―)

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