春ドラマの放送開始を楽しみにしている人も多いはず。各局、この時期は出演者が情報番組やバラエティー番組にこぞって出演する、いわゆる番宣合戦になるのがお約束だ。


「けど、そこまでの番宣をしなくても、あっさり中高年層視聴者の心を掴んでしまいそうな連ドラがあるんですよ。3月31日火曜夜10時からNHKでスタートする『魯山人のかまど』です。ドラマの主人公は美食家でも知られる芸術家、北大路魯山人です」(エンタメ誌編集者)


 公式サイトによると、《北大路魯山人の知られざる姿を描く》物語で、NHKのBSでは一足早く3月6日から放送されていた。話題になった松山ケンイチ(41)主演の「テミスの不確かな法廷」の“後釜”となる「魯山人のかまど」は、全4回と短め。北大路魯山人を演じるのは藤竜也(84=写真)である。原作なしのオリジナル作品で、晩年の魯山人の生き様と、交流があった多くの有名人が登場。その中の1人、アメリカの大富豪であるロックフェラー3世をハリウッド俳優のサイモン・ペッグ(56)が演じることでも話題だ。


「名前を言われてピンとこなくても、『ミッション・インポッシブル』シリーズのベンジーといえば、《ああ、あの人!》となるのでは? 人気ハリウッド俳優にオファーして快諾されるとは、民放に比べると予算も潤沢なNHKならではの力業だなと」(映画ライター)


 主演の藤は、トレードマークともいえるあの口ひげを剃って魯山人役に挑んでいる。


「眼鏡もかけていますし、ひげがないので、これまでイメージしてきた“藤竜也”とはちょっと違って見えますが、それだけ魯山人になり切って演じたということでしょう。実際、魯山人本人の写真とドラマでの藤さんの顔を見比べると、とてもよく似て見えます」と話すのは芸能ライターのエリザベス松本氏だ。


 藤のデビューは1962年。下積み時代もあったが、70年代には売れっ子俳優に。

故・大島渚監督作品「愛のコリーダ」や「愛の亡霊」でその名を世間に一気に知らしめた。


「テレビドラマにも数多く出演されていて、どのドラマでも、とにかくいつも渋かった。今は死語かもですが『ニヒル』という言葉がぴったり来る役者さんですよね。ずっとそのカッコよさをキープしたまま年齢を重ねているのが素晴らしい。17年の連ドラ『やすらぎの郷』(テレビ朝日系)の高井役で見せたフェロモンむんむんな演技は当時、世代を問わず多くの視聴者を魅了したものです」(前出のエリザベス松本氏)


 魯山人役ではさすがにフェロモンは封印だろうが、84歳の藤がどんな新たな顔を見せてくれるのか。渋みを増した演技は、確かに多くの視聴者の心を掴みそうではある。


 ある脚本家は「このところのNHKドラマは『テミスの不確かな法廷』をはじめ、24年放送の『宙わたる教室』『団地のふたり』、昨年の『ひらやすみ』などなど、派手な考察はなくても《繰り返し見たくなる》《名作》と高評価で、視聴者の心に残る作品が多い。民放と比べたら圧倒的でしょう。NHKは制作費がケタ違いとも言われますが、大河は別格として、『ひらやすみ』にそこまでお金がかかっているとも思えません。NHKも意外と原作ありきのドラマ化が多く、そこは民放と同じなんですけど……民放はスポンサーの顔色をうかがいすぎなんですかねえ」と言葉を濁す。


 お金が、時間が、なんて言い訳ばかりしていると、視聴者に愛想を尽かされる。春ドラマ、果たして民放各局は巻き返せるのか。


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