嘘つきもこうまでなると、つける薬などないことがよく分かる。米国とイスラエルがおっぱじめた対イラン軍事作戦の開始から32日。

勝利は程遠く、引き際も見定められないトランプ大統領が2日(米東部時間1日)、交戦後初めて米国民向けに演説した。その内容のデタラメなこと。最高指導者らを次々に殺害されたイランは怒髪天で、米イスラエルに対し、「屈服するまで戦う」と徹底抗戦を宣言した。この先は依然として漠としている。


■ガソリン1ガロン=4ドル超えが常態化


 トランプ大統領は予定より約2分遅れで演説スタート。「米国はかつてない勝利を収めている」「核心的な戦略目標はほぼ達成している」「今後2、3週間で猛攻撃をかけ、イランを石器時代に戻す」「この期間に(戦闘終結で)合意が成立しなければ、全ての発電所を激しく攻撃する」──など、20分弱にわたり、根拠不明の発言を連発した。


 ハッキリしているのは、TACO(Trump Always Chickens Out=トランプはいつもビビってやめる)と揶揄されるトランプ大統領がドツボにはまり、一刻も早くイランから手を引きたがっていること。軍事力で劣るイランが原油輸送の要衝ホルムズ海峡を事実上封鎖。世界経済に打撃を与える非対称戦に持ち込まれ、米国の家計を揺さぶっている。


「トランプ氏が意識しているのは支持率よりも、インフレ率。レギュラーガソリンの全米平均価格は3月31日に1ガロン(約3.8リットル)=4ドルの大台を突破し、米国民の我慢の限界を超えた。イラン攻撃前から35%も上昇し、3年7カ月ぶりの高値水準に張り付いている。

指標の米WTI原油先物は1バレル=100ドルを挟んで推移し、事態沈静のほかにガソリン価格が下がる要素は見当たらない」(市場関係者)



イラン軍は「後悔して屈服するまで戦う」と警告

 慌てたトランプ大統領は会見をセットして「作戦はあと少しで完了する」と例の調子で語ったが、マーケットは嘘つきの口上を見透かし、WTIはみるみる上昇。演説後に一時、1バレル=110ドル台を付けた。「紛争が終われば海峡は開放される」と裏付けなく言い、「海峡経由で石油を輸入する国々は米国から買うか、安全を自ら確保しなければならない」とブン投げたものだから、供給難解消に向けた「シナリオ不在」に失望が広がったのだ。


 イラン軍はトランプ演説後の声明で「われわれの兵器生産は、敵が知らず、到達もできない場所で続いている」と主張し、「後悔して屈服するまで戦う」と警告。イスラエルにミサイルを撃ち込むなど、継戦能力を見せつけている。


 落としどころはあるのか。「中東紛争」などの著書がある軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏はこう言う。


「イランとホルムズ海峡開放で合意できなくても、軍事作戦を終える布石を打った。それがトランプ演説のポイントです。中東への米軍増派でイランに圧力をかけてはいるものの、地上戦を展開する可能性は限りなく低下したと見ています。全発電所攻撃も同様です。2、3週間で引くかは判然としませんが、その間、イスラエルと空爆を継続し、でき得る限り追い込もうという算段でしょう。

ネタニヤフ首相はレバノン南部の制圧に手を広げてもいますし、イランの核・ミサイル開発能力を潰して十分に痛めつけた。トランプ大統領の顔を立て、いったんは矛を収めるのではないか」


 イランのメンツを保つためにも、今こそ国際社会の仲裁が必要だ。


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 朝令暮改を繰り返し、根拠不明な発言を連発するトランプ大統領に米国市民も怒りを隠せない。【もっと読む】『トランプ大統領の放言とガソリン高騰が“ガチ連動” 1ガロン4ドル突破目前で米国内は暴動寸前』で詳しく報じている。


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