筆者も、30代で3回のがん手術、数えきれないくらいの石灰化(がんになったけど、勝手に死んだガンの痕)と、共存して生きている。
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それを「がんサバイバー」と呼び、生きながらえることで英雄化され、また生きながらえないとして悲劇の運命として、銭を稼いでいる人、家族がいないこともない。
韓国で、父親が胃がんの手術を受けた。その息子に「俺もがんになって、保険(給付)金もらいたいわ!」と、なにも考えないで言った知人が今、SNSで叩かれている。
この手術で降りた金額は、日本円にして560万円。これからの治療もあるし、再発転移の危険性があるから「温泉にでも行くか!」もしてはいけない。なにより、そんな軽口をふっとばせるくらいの心の余裕などない。
560万円あげるから、かわりにがんになってくれ。あなたなりますかね? 借金に負われているとか人生に絶望している人以外で。
筆者の場合手術まで時間があって暇だったので、保険会社の約款を隅から隅まで読んでみた。片方の乳房1個120万円(高い保険会社に入っていればもっと出る)。
最近はそううるさく宣伝はしていないが、がん告知が確定した時点で100万円もらえる保険が当時あった。初回の患者たちは、これは神様が与えた試練であり休養。退院したら身内全員連れて温泉でも行くわとポジティブな話をしていた。2回目の私は、100万円もらっても2年なりの治療費には足りないから使わない方がいいよ、と思ったが言わなかった。
韓国では、この保険金を揶揄して「キャンサーテック成功」というらしい。がんによるマネーゲームだそうだ。
自分がなってみて、がんはやっと腑に落ちる。時間はかなりかかるが。
悪口雑言にも民間療法の勧誘にもまけず、その保険金は、自分の治療のためだけに使って、腹立つことを言うやつとの関係は即切ってほしい。
これ、万国共通のがん体験者からのメッセージ。
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