2025年6月3日に実施された韓国大統領選挙で当選した李在明(イ・ジェミョン)新大統領は、日韓関係について対話を通じた関係改善に意欲を示しており、今後の両国関係に新たな局面が訪れる可能性が指摘されている。

その他の写真:韓国イメージ

 李大統領は当選確定後の会見で、外交政策の基本姿勢として「国益と国民中心」を掲げ、「日本とは未来志向的な関係を築いていきたい」と強調。
具体的な言及は避けつつも、過去の歴史問題については「真正性のある謝罪と反省を求める」という従来からの立場を堅持しつつも、「未来に向けた協力も不可欠だ」との認識を示した。これは、強硬な姿勢を取りがちであったこれまでの韓国政権とは一線を画し、対話の窓口を閉ざさない柔軟な姿勢を示唆しているものと見られる。

 一方、日本政府は李大統領の当選を受け、石破茂首相が祝意を伝えるとともに、日韓関係の健全な発展の重要性を強調した。石破首相はかねてより、対話の重要性を訴えており、韓国新大統領との首脳会談にも意欲を示すものとみられる。日本政府関係者は「新大統領の今後の発言や行動を注視しつつ、日韓間の諸課題を解決に向けた対話を粘り強く続けていく」としており、具体的な関係改善への道筋は、今後の両国間のハイレベルな対話を通じて探られることになるだろう。

 しかし、長年にわたる歴史認識や領土問題など、日韓間には根深い懸案が横たわっていることも事実だ。特に、元徴用工問題や慰安婦問題といった歴史問題については、韓国国内の世論も分かれており、新政権がこれらの問題にどのようなアプローチを取るかが注目される。李大統領が「国民の意思を尊重する」と述べているだけに、国内世論との兼ね合いも関係改善の大きな要素となるだろう。

 専門家からは、「李大統領は実利を重視する傾向があり、経済協力や安全保障分野においては日本との連携を強化する可能性もある」との見方も出ている。北朝鮮の核・ミサイル開発が続く中、日米韓の安全保障協力の重要性は増しており、この点が関係改善の糸口となる可能性も否定できない。石破首相も、安全保障問題への関心が高いことで知られており、この分野での連携は進展しやすいとの見方もある。

 いずれにせよ、李政権下での日韓関係は、過去の因縁に囚われつつも、対話と協力を模索する新たなフェーズへと移行する兆しを見せている。
新大統領のリーダーシップと、石破首相との間でどのような信頼関係が構築されるか、そして両国が未来を見据えた対話を進められるかどうかが、今後の日韓関係の行方を左右することになるだろう。
【編集:NH】
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