2025年6月12日に発生した、エア・インディア787型機の痛ましい墜落事故について、現在様々な憶測が飛び交っています。現地メディアによると、その中でも、パイロットの操作ミスが事故の主要な原因であるとする見方が有力視されています。


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 787型機の概要と事故発生時の状況

 今回の事故機であるボーイング787型機は、最新鋭の技術が投入された航空機です。機体の主要部分にカーボン素材を使用することで軽量化を実現し、ブレーキの電動化やフライバイワイヤーシステムの採用など、これまでの航空機にはなかった多くの先進技術が搭載されています。これにより、過去には大きな事故がほとんどなかったとされています。

 事故はインドのアーメダバード空港からロンドンへ向かうフライトで発生しました。離陸時にはロンドンまでの長距離飛行に十分な燃料を搭載しており、乗客もほぼ満席に近い状態であったため、機体は非常に重い状態でした。

 パイロットの操作ミスという仮説

 最も有力な仮説として挙げられているのが、パイロットがフラップとギアの操作を誤ったのではないかというものです。墜落直前の映像では、機体の着陸装置(ギア)が降りた状態でありながら、通常は離陸時に揚力を得るために展開されるフラップが上がっていた可能性が高いと指摘されています。
航空機の離陸時の操作手順は以下の通りです。

* 離陸後、まずギアを格納する: 離陸後、機体の速度を上げる上で抵抗となるギアを最初に格納します。

* 速度と高度が安定した後、フラップを徐々に格納する: 機体が安全な速度と高度に達した後、揚力装置であるフラップを段階的に格納し、高速飛行に適した翼の形状に戻します。

もし離陸直後にギアを格納するのではなく、誤ってフラップを上げてしまった場合、揚力が急激に失われ、重い機体が失速して墜落に至る可能性が考えられます。

 副操縦士の操作ミスが原因か

 フラップやギアの操作は、通常、機長(キャプテンパイロット)の指示のもと、副操縦士が担当します。
副操縦士の経験は様々で、ベテランから訓練を終えたばかりの新人まで幅広い層が存在します。このため、機長の指示に対して副操縦士が誤った操作をしてしまい、フラップを上げてしまった可能性も指摘されています。

 今後の調査に注目

 現時点ではこれらの情報はあくまで仮説であり、事故原因の最終的な特定には、ブラックボックスの解析など、今後の詳細な調査が待たれます。航空機事故においては複数の要因が絡み合うことも多く、今後の調査によって新たな事実が明らかになる可能性もあります。
【編集:NH】
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