2025年7月、フィリピンを訪れる日本人旅行者にとって、その美しいビーチや温かい人々は大きな魅力だ。しかし、この国の交通事情には、日本とは比べ物にならないほどの危険が潜んでいることを認識する必要がある。


その他の写真:マクタン島木曜会・吉田 正昭さん撮影

 先日、マクタン島木曜会・吉田 正昭さんがフィリピン有数の観光地であるセブ島(リロアンの国道・ヤテ交差点付近)で目撃したのは、大型トラックが電柱に激しく衝突し、車両前部が大破している事故現場だった。死傷者の有無は確認できなかったが、街路樹や電柱が至る所で傷つき、交通インフラが脆弱な地方都市では、こうした事故が日常茶飯事となっている現実を目の当たりにした。

 フィリピンの交通事故死者数は年間約1万2000人以上とされている。単なる統計上の数字だけでなく、インフラの未整備、運転マナーの欠如、車両の老朽化など、複合的な要因が絡み合っているのが現状だ。

 特に、以下のような点に留意し、旅行者は細心の注意を払うべきである。

* 運転マナーの悪さ: 車線変更時の合図不履行、無理な追い越し、信号無視などが常態化している。

* 車両の整備不良: ライトの不点灯やタイヤの溝がないなど、整備不良の車両が多数走行している。

* 劣悪な道路状況: 舗装されていない道路や、穴が開いている箇所も多く、夜間は特に危険性が増す。

* 公共交通機関の危険性: ジープニーやトライシクルといった交通手段は便利だが、安全性に疑問符が付くものも少なくない。過積載や速度超過が横行しているケースもある。

* 歩行者の注意不足: 歩道が整備されていない場所も多く、歩行者自身も交通ルールを無視して車道を横断するなど、危険な行動が見受けられる。

 在フィリピン日本国大使館も、安全情報を随時発信し、交通事故への注意を呼びかけている。
レンタカーの利用は極力避け、信頼できるタクシーや配車アプリを利用する、夜間の外出を控える、交通量の多い場所では常に周囲に気を配るなど、自衛の意識を持つことが何よりも重要だ。
【編集:NH】
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