フィリピンでは、少しリッチな誕生日会には「子豚の丸焼き・レチョン」が食卓を豪華に彩るのが習わしだ。

その他の写真:子豚の丸焼き・レチョン

 この日、51回目の誕生日を迎えたジョンウィさんも例外ではなかった。
彼が手塩にかけて育て、事業を成功させた大唐辛子の辛さにも負けないほど、温かい笑顔と祝福に満ちた宴がダバオで開かれた。

 会場の中心には、こんがりと焼き上げられた黄金色のレチョンが鎮座し、その香ばしい匂いが食欲をそそる。家族や友人がジョンウィさんを囲み、互いの近況を語り合いながら、賑やかな時間が流れた。レチョンは単なるご馳走ではない。それは、フィリピンにおける豊かさ、祝福、そして家族の絆の象徴であり、特別な日を一層際立たせる存在なのだ。

 ジョンウィさんは約25年前、ダバオで大唐辛子の栽培事業に乗り出した。当初は多くの苦労があったものの、彼の情熱と努力が実を結び、今では安定した収入を得られるまでに成長したという。この日のレチョンは、彼自身のこれまでの努力と成功、そして周囲への感謝の気持ちが込められた、特別な一皿だったに違いない。

 参加者たちは、レチョンを囲んでジョンウィさんの長寿とさらなる事業の発展を祈った。フィリピンの誕生日会は、単に年齢を重ねることを祝うだけでなく、家族や地域社会との結びつきを再確認し、共に喜びを分かち合う大切な機会となっている。ジョンウィさんの51回目の誕生日は、その文化を象徴する、温かく記憶に残る一日となった。
【編集:Eula Casinillo】
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