2025年7月、フィリピン・マクタンセブ国際空港の国内線出発ゲート。搭乗を待つ人々が行き交う一角に、目を引くクレーンゲームのブースが設けられている。
「CATCH-A-PRIZE」と銘打たれたそのゲーム機の中には、日本が世界に誇るキャラクター、サンリオのハローキティに酷似した白いぬいぐるみがぎっしりと並べられている。

その他の写真:フィリピン・マクタンセブ国際空港の国内線出発ゲート

 今回確認されたクレーンゲームは「DREAM」という筐体名が見え、複数の同型機が連なる形で設置されていることから、一定規模のオペレーターが展開しているものと見られる。景品として置かれたぬいぐるみは、白いボディにピンクのリボン、青い目、黄色い鼻といったハローキティの特徴を捉えつつも、どこか粗雑な造りであり、ライセンス品とは明らかに異なる印象を受ける。中には、オリジナルにはないカラーバリエーションやデザインのものが混じっている様子も見て取れる。

 日本のキャラクターコンテンツは、世界中で愛され、その経済効果も計り知れない。しかし、人気が高まるにつれて、その模倣品が世界各地で後を絶たないのが現状だ。特に東南アジア諸国では、知的財産権に対する意識の低さや法執行の難しさから、模倣品の製造・流通が深刻な問題となっている。

 今回空港内で見つかった「キティ似」のぬいぐるみも、まさにその典型と言えるだろう。正規の許諾を得ずにキャラクターを模倣し、商業目的で利用する行為は、著作権や商標権といった知的財産権の侵害に当たる。サンリオ側も、国内外で模倣品対策に力を入れているが、その摘発はまさに「いたちごっこ」の様相を呈している。
【編集:Eula Casinillo】
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