【その他の写真:ハニン・シアム】
パレスチナ子ども救済基金(Palestine Children's Relief Fund)は1991年に米国で設立された非政府組織(NGO)で、パレスチナ人によって運営されている。パレスチナとその周辺地域の子どもの健康に特化し、医療・人道支援を展開。各国から医師や看護師を現地に派遣して手術や治療を行うほか、医療インフラの改善にも注力している。具体的には、病院や診療所の建設・改修、医療スタッフの育成、さらにはパレスチナの子どもたちの心のケアサポートも手掛ける。
今回のイベントは、ガザ地区の医療状況への理解を深めるとともに、中東全域における小児医療提供の重要性を訴えるのが狙いだ。PCRFのこれまでの実績を伝え、ガザの子どもたちが直面する喫緊の医療ニーズを強調。国際的な支援の強化と、子どもたちに命を救う医療を届ける取り組みの推進を強く訴えた。
イベントでは、以下のような多彩なプログラムが展開された。
* PCRF理事のヴィヴィアン・ハラフ弁護士らによる活動報告を交えたパネルディスカッション
* パレスチナと日本の伝統刺繍をつなぐ「パレスチナ刺繍帯プロジェクト」創設者の山本真希氏によるプレゼンテーション
* ダブケパフォーマンスチーム「Team Dabke Japan」による、パレスチナを含むレバント地域に伝わる民族舞踊
* 音楽家・アーティストの蓮沼執太氏によるパフォーマンス
* パレスチナの伝統グッズなどを集めたサイレント・オークション
参加者にはパレスチナ料理が振る舞われたほか、今回の来日に合わせて製作されたPCRF×Kifu for PalestineコラボTシャツも販売された。経費を差し引いた売上は全てPCRFに寄付される。
≪プロフィール≫
ヴィヴィアン・R・ハラフ (Vivian Khalaf, Chairwoman of the Board, PCRF)
法律事務所ハラフ&アブジールのマネージング・パートナー。
タレク・ハイラート (Tareq Hailat, Outreach & Public Engagement Lead, PCRF)
米経済誌フォーブスの「30歳未満の30人(Forbes 30 Under 30)」に選出された医学生。PCRFでの活動を通じて、これまでにガザからの子どもの国外緊急避難活動を主導。国際的な提携を通じて「海外治療プログラム」に貢献している。
Team Dabke Japan(ダブケパフォーマンスチーム)
2014年結成。駐日パレスチナ常駐総代表部やオマーン大使館の協力を得て、レバント出身の専門家から指導を受けた。いけばなインターナショナル、アラブチャリティバザー、セルバンテス・アラブ文化月間、アラブウィークレセプション、岐阜県美術館ディアスポラ・ナウ! など、多数のイベントに出演している。
蓮沼執太 (音楽家、アーティスト)
1983年、東京都生まれ。蓮沼執太フィルを組織し、国内外での音楽公演のほか、映画、テレビ、演劇、ダンス、ファッション、広告など様々なメディアで音楽を制作。また「作曲」という手法を応用し、彫刻、映像、インスタレーション、パフォーマンス、プロジェクトといった物質的な表現も手掛ける。
【取材:安麻 比呂、深町 翔太】