2025年7月6日、東京・大手町で、パレスチナ子ども救済基金(PCRF)の来日記念イベントが開催された。寄付・フォー・パレスチナ、兵庫県保険医協会、フレンズ・オブ・パレスチナ神戸が共同で企画し、東京と大阪の2カ所で実施。
ガザ地区の現地状況やPCRFの活動報告に加え、日本の医療組織、支援団体、そして一般市民に協力を呼びかけた。

その他の写真:ハニン・シアム

 パレスチナ子ども救済基金(Palestine Children's Relief Fund)は1991年に米国で設立された非政府組織(NGO)で、パレスチナ人によって運営されている。パレスチナとその周辺地域の子どもの健康に特化し、医療・人道支援を展開。各国から医師や看護師を現地に派遣して手術や治療を行うほか、医療インフラの改善にも注力している。具体的には、病院や診療所の建設・改修、医療スタッフの育成、さらにはパレスチナの子どもたちの心のケアサポートも手掛ける。

 今回のイベントは、ガザ地区の医療状況への理解を深めるとともに、中東全域における小児医療提供の重要性を訴えるのが狙いだ。PCRFのこれまでの実績を伝え、ガザの子どもたちが直面する喫緊の医療ニーズを強調。国際的な支援の強化と、子どもたちに命を救う医療を届ける取り組みの推進を強く訴えた。

 イベントでは、以下のような多彩なプログラムが展開された。
* PCRF理事のヴィヴィアン・ハラフ弁護士らによる活動報告を交えたパネルディスカッション
* パレスチナと日本の伝統刺繍をつなぐ「パレスチナ刺繍帯プロジェクト」創設者の山本真希氏によるプレゼンテーション
* ダブケパフォーマンスチーム「Team Dabke Japan」による、パレスチナを含むレバント地域に伝わる民族舞踊
* 音楽家・アーティストの蓮沼執太氏によるパフォーマンス
* パレスチナの伝統グッズなどを集めたサイレント・オークション

 参加者にはパレスチナ料理が振る舞われたほか、今回の来日に合わせて製作されたPCRF×Kifu for PalestineコラボTシャツも販売された。経費を差し引いた売上は全てPCRFに寄付される。

≪プロフィール≫

ヴィヴィアン・R・ハラフ (Vivian Khalaf, Chairwoman of the Board, PCRF)
法律事務所ハラフ&アブジールのマネージング・パートナー。
シカゴ=ケント・カレッジ・オブ・ローで法務博士号(JD)を取得。米国で移民法および国籍法の分野で35年以上の実務経験を持つ。

タレク・ハイラート (Tareq Hailat, Outreach & Public Engagement Lead, PCRF)
米経済誌フォーブスの「30歳未満の30人(Forbes 30 Under 30)」に選出された医学生。PCRFでの活動を通じて、これまでにガザからの子どもの国外緊急避難活動を主導。国際的な提携を通じて「海外治療プログラム」に貢献している。

Team Dabke Japan(ダブケパフォーマンスチーム)
2014年結成。駐日パレスチナ常駐総代表部やオマーン大使館の協力を得て、レバント出身の専門家から指導を受けた。いけばなインターナショナル、アラブチャリティバザー、セルバンテス・アラブ文化月間、アラブウィークレセプション、岐阜県美術館ディアスポラ・ナウ! など、多数のイベントに出演している。

蓮沼執太 (音楽家、アーティスト)
1983年、東京都生まれ。蓮沼執太フィルを組織し、国内外での音楽公演のほか、映画、テレビ、演劇、ダンス、ファッション、広告など様々なメディアで音楽を制作。また「作曲」という手法を応用し、彫刻、映像、インスタレーション、パフォーマンス、プロジェクトといった物質的な表現も手掛ける。
【取材:安麻 比呂、深町 翔太】
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