【その他の写真:クライマックスステージ一に挑むラリーカーが勢揃い】
ラリーカーたちを待ち受けるのは、わずか69.55kmのファイナルステージ。しかしその短さに騙されてはいけない。ここSS8(スペシャルステージ8)は、AXCR2025で最も美しいと称される特別な舞台だ。
前半38kmはプラサエ貯水池を望むオープンエリア。どこまでも広がる景色の中を疾走するマシンは、砂煙を巻き上げ、カメラに映えるダイナミックな姿を見せた。戦い抜いてきた車両たちが、この最終日にふさわしい舞台で光を放つ。
しかし、後半の10kmは一転する。野生のゾウが生息する森の縁を回り込み、私有地のゴムプランテーションを抜けるルートは、自然の厳しさと隣り合わせ。調査チームが実際にゾウと遭遇したこともあるという、AXCRらしい緊張感に包まれたエリアだ。最後の最後まで油断を許さない、まさに「試練のフィナーレ」と言える。
ここまでの道のりは決して平坦ではなかった。
酷暑、豪雨、タイトなジャングル、そして苛烈なダート。
リザルトは総合18位、クラスT1G(無改造ガソリンクラス)3位。数字の背後には「挑み続けた証」が刻まれている。仲間と共に最後までこの過酷な闘いに車両を繋ぎ止め、大自然を走り切ったその姿は、順位以上の価値を持つ。
また、本大会を通じて芽生えたのは「競い合い」と同時に「助け合い」だった。他チームの車両トラブルをサポートし、サービスが遅れたチームには洗車を手伝う。敵味方の垣根を越えて支え合う姿勢は、AXCRという舞台が持つ特別な魅力を物語っている。
そして、セレモニアルゴールであるバリハイ桟橋に着いた参加チーム達はスタートと同様、アーチの下を通過し、チームメンバー全員と完走の歓びを分かち合った。
その後、ホテルで行われたパーティでは表彰式が行われ、Garage Monchi & Yanagawa iron works JAPINDはジムニーアワードで2位、T1Gクラス3位の表彰を授与された。ドライバー/コ・ドライバー/テクニカルサポートメンバー全員で勝ち取った結果であり、周囲にも祝福されながら互いの健闘を称えあった。
AXCR2025の幕が下りた今、GarageMonchi&Yanagawa iron works JAPINDとテクニカルサポートの桃伎舎の挑戦は、ひとつのゴールを迎えた。しかしこれは終わりではない。ここで得た経験と結束は、新たな挑戦への礎となる。「完走」以上に価値のあるもの─それは、困難を共に乗り越えた仲間の絆と、挑戦を続ける勇気だ。
Garage Monchi & Yanagawa iron works JAPINDとテクニカルサポートの桃伎舎は、この大地に刻んだ物語を胸に、次なる未来へと走り出す。
【編集:安麻 比呂、DAI GOTO、写真:HIROMA MATSUMOTO、YUDAI TAKAHASHI】