2025年8月20日、フィリピン入国管理局は、現地を拠点とする日本人犯罪組織「JPドラゴン」の主要メンバー、池野大輔容疑者(50)をマニラ首都圏で拘束したと発表した。

その他の写真:フィリピン入国管理局提供写真

 日本で複数の特殊詐欺事件に関与した疑いが持たれており、日本への強制送還に向けた手続きが進められている。
今回の逮捕は、フィリピンと日本の警察当局が連携を強化し、海外に逃亡した日本人犯罪組織の摘発に本腰を入れていることを示すものだ。

 入国管理局によると、池野容疑者は昨年東京で発生した高齢者を狙った特殊詐欺事件で、日本の警察当局から逮捕状が出されていた。同容疑者はフィリピンへの逃亡後、現地の日本人犯罪組織「JPドラゴン」の幹部として活動していたとみられる。日本の警察当局は、フィリピン政府に対し、池野容疑者の身柄引き渡しを繰り返し要請していた。

 「JPドラゴン」はフィリピンを拠点に、特殊詐欺、強盗、窃盗などの犯罪を繰り返しているとされる。昨年には、フィリピン在住の日本人女性が殺害された事件で複数のメンバーが関与した疑いが浮上し、その存在が日比両国の当局の間で大きな問題となっていた。加えて、2025年6月には吉岡竜司容疑者が同様にフィリピンで拘束され、組織全体に対する取り締まりが強化されている。

 フィリピン当局は日本側からの情報提供を基に、組織の資金の流れや活動拠点などを徹底的に洗い出し、その実態解明に取り組んでいた。今回の池野容疑者の拘束は、その地道な捜査の大きな成果といえる。同容疑者の逮捕により、組織の内部構造や日本国内の協力者に関する情報が明らかになることが期待されている。

 近年、インターネットや通信技術の進化により、特殊詐欺などの犯罪は国境を越えて実行されるケースが増加している。フィリピンは、日本人がビザなしで長期滞在できるため、海外逃亡した犯罪者の潜伏先として利用されることが多かった。
これに対し、日比両国は2024年以降、犯罪情報の共有を加速させ、合同捜査チームの立ち上げも視野に入れるなど、連携を強化してきた。

 今回の池野容疑者拘束は、その協力体制が有効に機能し始めた証しといえる。両国は今後も海外に逃亡した日本人犯罪者の摘発と強制送還に向け、緊密に連携していく方針を固めている。警察当局は、フィリピンには池野容疑者と同様の犯罪に関与した疑いのある日本人がまだ多数潜伏していると見ており、今回の逮捕を機に、さらなる捜査の進展が予想される。

 かつては「犯罪の温床」とも言われたフィリピンだが、政府の姿勢転換と日本との連携強化により、犯罪者にとって「安全な隠れ家」ではなくなりつつある。今回の逮捕は、海外に逃亡すれば逃げ切れるという甘い考えを持つ犯罪者たちへの強力な警告となるだろう。今後も国際的な包囲網が狭まる中、犯罪者たちの動向と、それを取り締まる日比当局の連携に、引き続き注目が集まる。
【編集:YOMOTA】
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