【その他の写真:韓国LCC】
LCC各社は、顧客獲得のため低運賃を武器に激しい競争を繰り広げ、採算ラインを大きく下回る路線も少なくない。そのしわ寄せは運航コストに集中し、特に航空機の整備費用が削減の対象となりがちだ。LCCは燃費効率の良い新しい航空機を積極的に導入する傾向が高いが、運用コストを抑えるため、部品交換のサイクルを延ばしたり、より安価なメンテナンスサービスを利用したりする動きも指摘されている。
航空機の整備不備は、重大な事故につながるリスクを高める。過度なコスト削減が整備に影響すれば、機材の安全性が脅かされることになりかねない。運航便数の増加に対して整備士の数が追いついていない場合、一人当たりの業務負担が増加し、整備の質が低下するリスクも懸念される。
LCCの急速な路線拡大は、パイロットの需要も急増させた。しかし、供給が追いつかない現状が、パイロットの過重労働や質の低下につながっているという指摘がある。頻繁なフライトによる疲労の蓄積は、判断力の低下やミスを誘発する最大の原因の一つだ。また、経験の浅いパイロットが十分な訓練を積む間もなく、複雑な路線や悪天候下での運航を任されるケースも懸念材料となっている。
こうしたLCCの状況に対し、安全面を重視する富裕層はLCCの利用を避ける傾向にある。ソウル在住の会社経営者、キム・ミンジュン氏(55)は、ラオス出張の際にLCCを利用するかという問いに対し、「正直、安全性に不安を感じる。
LCC各社は安全を最優先事項と掲げているが、経営を圧迫する赤字が続けば、目に見えない形で安全管理体制が緩む可能性も否定できない。利用者は、航空券の価格だけでなく、航空会社の安全実績や評判も考慮して選択することが、今後ますます重要となる。
【編集:YOMOTA】