【その他の写真:ニーハオ! 中国アジア旅游商大会FAMツアー2025の参加者】
常住人口約825万人の都市である瀋陽、その中心部・瀋河区には文化観光の拠点が集中している。都市の景観は、満州時代の歴史的建造物と現代的な建物が共存し、古き良き時代の雰囲気を感じさせながらも、発展する経済都市としての顔を合わせ持つのも特徴だ。また、高速鉄道や高速道路が市内を放射線状に走り、東北地方の鉄道と空路のハブとしての役割を果たしている。
瀋陽の街を歩けば、満州族の伝統と現代文化が自然に交わる様子が見えてくる。街角には古い建築が残り、カフェやショップが立ち並ぶ通りもあれば、北陵公園のような広大な緑地や川沿いの散策路もあり、自然の景観を楽しむこともできる。こうした多彩な要素が、訪れる人々を飽きさせない魅力となっている。
街の中心にある沈陽城文化観光区は、文化観光の拠点として整備されている。ここには瀋陽中街や瀋陽故宮(瀋陽故宮博物院)といった歴史と文化を感じられるスポットが集中しており、訪れる人々は、広場や歩道、公園を巡りながら歴史散策や地元文化を体験することができる。飲食店やレストランも多く、散策の合間に地元の味を楽しむのもおすすめだ。
その中でも、多くの観光客で賑わっているのが瀋陽故宮だ。1625年に太祖ヌルハチによって着工され、1636年に完成したこの皇城は、清朝初期の権威と威厳を伝える重要建築。総面積は約6万平方メートル、70以上の建物と300以上の部屋が整然と並ぶ。
瀋陽故宮から徒歩圏内にある中街エリアでは、「頭条胡同」が美食ストリートとして人気だ。かつて栄えた場所が、現在は伝統的な飲食店とショッピングモールが立ち並ぶ活気あふれる通りとなっており、瀋陽の賑わいを肌で感じることができる。こうして歴史と現代が交錯する瀋陽の街を巡ることで、満州族文化の深さと都市の進化を同時に体感することができた。瀋陽観光では、渾河でのナイトクルーズも体験。夜の渾河を巡りながら楽しむ船上での会話や、街の夜景を背景に写真撮影は、都市の喧騒から離れ、心にゆとりをもたらす時間となった。
また、視察最終日はアジア旅游商大会2025が開催され、中国茶や「剪紙(せんし)」と呼ばれる切り絵、古き良き工芸品など中国の伝統文化に触れる体験も行われた。
【撮影/取材:小川いずみ】