2025年9月10日、米国と韓国の間で、外交と労働政策を巡る複雑な問題が浮上している。焦点は、米ジョージア州のバッテリー工場で不法就労の疑いで拘束された韓国人労働者数百人だ。
韓国政府は帰国に向けたチャーター便を準備していたが、ドナルド・トランプ大統領の突然の提案により、事態は新たな局面を迎えている。

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 トランプ氏、突然の「強制送還停止」提案

 英紙フィナンシャル・タイムズによるとトランプ氏は、拘束された韓国人労働者に対する強制送還を停止し、代わりに「米国人向け研修のための滞在許可」を提案した。一見すると人道的な措置に見えるが、これには複数の政治的意図が読み取れる。

 第一に、韓国人労働者を「技術移転の研修要員」として活用し、米国人の雇用や技術習得を促進する狙いがある。韓国企業の先進技術を自国に取り込み、産業競争力を高める思惑だ。

 第二に、この問題が対韓圧力の一環として利用されている可能性だ。韓国政府の対米投資や通商交渉で、優位に立つための揺さぶりとみられる。

 第三に、国内支持層へのアピールだ。移民政策に厳格な姿勢を示しつつ、経済合理性を前面に出すことで、幅広い支持を獲得する狙いがある。

 チャーター便は宙に浮く、韓国政府の苦悩

 トランプ氏の提案により、韓国政府が準備したチャーター便による帰国支援は一時停止を余儀なくされた。この事態は、韓国国内で強い反発と懸念を生んでいる。

 特に、「米国の一方的な判断に振り回されている」という外交的屈辱感が強まっている。
また、国内世論は労働者の保護を求める声と、違法就労への厳罰を求める声に二分されており、政府の対応が難しい状況だ。

 さらに、バッテリー工場の稼働停止が長期化すれば、韓国企業の米国事業全体に支障をきたす可能性も指摘されている。
【編集:af】
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