北朝鮮では、高圧送電塔の鉄材が国民によって盗まれる事件が多発している。これは、命がけの窃盗と呼ばれる。
もうなりふり構っていられない状態なのだ。

その他の写真:イメージ

 夜中、国民が闇に紛れて鉄製の支柱などを切り取ったり、長さ2m厚さ6cmの部品を外し、古物商に売り渡している。1mだと、2.5ドル(日本円にして370円)になる。

 あからさまな窃盗ではなく、巧妙な手口もどんどん派生していっている。一基の塔から5~7本を抜き取り、なにもなかったかのように調整する。ただ、毎日行っていたら塔そのものがなくなってしまう。電力網の崩壊や大規模な事故につながる。
これらの塔は、韓国が設置したもの。仲が悪い国通しながら、昨年末には、このような窃盗の被害で崩壊した鉄塔を韓国軍が便宜上補足した。統一部も感謝の念を伝えるため公開している。

 窃盗を防ぐために、労農赤衛隊を総動員して12時間交代で警備はしている。だが険しい山道過ぎるため(お腹もすいているだろうし)、結局は今現在継続はされていない。
総動員された人でも、一歩間違えば窃盗する側に回るかもしれない国の中で、警備は無駄だとこぼしている。

 送電インフラよりも、まず生きることの方が大切。日本のように大規模災害が起こらなければ、当たり前に電気がつく暮らしを北朝鮮国民はしていない。停電なんてめずらしくないのだ。
その鉄材が今日のご飯になるのなら何の問題はない。

 本当にクーデターが起こらないのが不思議なくらい、国民は疲弊している。疲弊しすぎて、クーデターも起こせない状態にいるのだ。

【編集:fa】
編集部おすすめ