2025年10月18日、狂犬病の脅威が依然として存在するフィリピン・ダバオ市で、生後5カ月になる子犬が初めての狂犬病予防注射を受けた。

その他の写真:2025年10月18日(フィリピン・ミンダナオ島 ダバオ市TORIL)

 狂犬病は、発症すればほぼ100%致死的な人獣共通感染症で、フィリピンでは犬を介した感染例が後を絶たない。
法律で飼い犬への予防接種が義務付けられており、特に子犬にとっての初回接種は、命を守る上で極めて重要なステップとなる。
 
 今回、予防接種を受けたのは、シーズー(Shih Tzu)犬の子犬。飼い主の女性と家族に抱えられ、「ロイヤル・アニマル・クリニック」を訪れた。病院の入口には「Royale Animal Clinic」の看板と、獣医療サービスの一覧が掲げられており、地元に根差したクリニックであることがうかがえる。
 
 診察室では、獣医師が子犬の健康状態を丁寧にチェック。体重測定や口内の視診などが行われた後、いよいよ注射台へ。家族に優しく抱きかかえられ、少し緊張した様子の子犬に、獣医師が手早くワクチンを投与した。注射は一瞬で終わり、子犬はすぐに飼い主の腕の中へ。

 接種後の記録票には、狂犬病ワクチン「RABISIN」や混合ワクチン「Bayovac-DHPPi」などが、日付と共に詳細に記録されていた。この日は2025年10月18日。子犬がフィリピンでの生活を健やかに送るための、大切な一歩となった。

 飼い主の女性は、注射直後は子犬が不安がっていたものの、すぐにいつもの愛らしい表情に戻ったことに胸をなで下ろし、「これで一安心。
フィリピンで犬を飼う責任として、しっかり予防を続けたい」と笑顔を見せた。

 クリニックの待合室には、狂犬病の原因となる「デモデックス・カニス(ニキビダニ)」についての啓発ポスターが貼られ、狂犬病以外の感染症予防への意識も高められている。獣医師は「ワクチン接種は、犬だけでなく、飼い主や地域社会全体を守るための公衆衛生上の義務でもある」と強調し、定期的な接種の徹底を呼びかけた。

 フィリピンでは近年、自治体による無料の予防接種キャンペーンも実施されており、国民の意識向上に努めている。今回の子犬のように、初めての予防接種を終えた幼い命一つ一つが、ダバオ地域の安全に確実につながっていく。
【編集:Eula Casinillo】
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