停電は日本では稀な事象だが、フィリピンでは日常の一部として受け入れられている。ダバオ市の電力会社であるダバオ・ライト(Davao Light and Power Co., Inc.)がSNSで告知した「計画停電(Scheduled Power Interruption)」の通知。


その他の写真:冷凍庫の保冷剤

 これは、フィリピンの電力インフラが抱える課題と、それに対する地域社会の現実的な対応を象徴している。

 停電は2025年10月25日(土)の午前8時から午後1時まで、ダバオ市南部(SOUTH)の特定地域で予定されている。その理由(WHY)は、「To facilitate upgrading of lines in the area(地域内の電線アップグレードを促進するため)」、および上部の通知にある「To facilitate pole relocation activity in the area(地域内の電柱移設作業を促進するため)」と明記されている。

 日本では、停電はシステムの故障や災害による突発的なものが多いが、フィリピンでは今回のようにインフラの維持・改善を目的とした計画的な停電が頻繁に発生する。

 利用者にとって、この計画停電は「心の準備ができ るので突発停電より助かる」という側面がある。

 停電になると上水道のポンプ場のモーターも回らなくなるため、生活用水を大きなバケツに入れる。

 冷蔵庫内の食品管理。冷凍庫に常備している保冷材の一部を、冷蔵室に移動するなど。

 この計画停電の日常化は、既存の電力設備が老朽化していること、そして急速な都市開発や人口増加に伴い、送配電能力の強化が追いついていないという、フィリピン全土で共通するインフラの課題を浮き彫りにしている。
【編集:Eula】
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