2025年10月24日 タイの複数メディアによると、ミャンマー東部のタイ国境沿いに位置する悪名高いオンライン詐欺拠点「KKパーク」に対するミャンマー国軍の摘発作戦を受け、800人を超える外国人が国境を越えてタイ領内に流入した。タイ当局は不法入国者の取り締まりと国境管理を大幅に強化している。


その他の写真:ミャンマーの巨大詐欺拠点KKパーク

 タイ入国管理局によると、今月22日朝、ミャンマー国軍がKKパークに対する掃討作戦を開始した後、800人以上の外国人がタイ北部ターク県メーソート地区の国境を越えて逃亡し、身柄を拘束された。

 拘束者たちは、メーソートに設置された一時避難所で詳細な身元確認を受けている。初期の検査では、ほとんどがパスポートを持たない20代から40代半ばの中国籍の者であることが判明した。生体認証による犯罪歴の照合で、一部に前科があることも確認されており、当局は国際逮捕状の審査を進めているという。

 流入者は中国人以外にも、ベトナム、インドネシア、パキスタン、フィリピンなど多岐にわたる国籍が含まれている。

 KKパークは、タイ国境からモエイ川を挟んですぐのミャンマー・カレン州ミャワディ郡区にあり、主に中国系犯罪組織が運営する施設である。ここは、ロマンス詐欺、投資詐欺といった「特殊詐欺」やオンラインギャンブルの巨大な拠点として知られ、人身売買と強制労働が行われてきた。

 大量の外国人の流入という事態を受け、タイ入国管理局は直ちに国境の警備体制を強化した。入国管理局は、ターク県警察や国境警備隊と連携し、メーソートに「前線作戦センター」を設置。モバイル生体認証デバイスを用いて全ての入国者の身元確認を徹底し、不法入国や犯罪行為には断固として対処する方針。

 今回の事態は、ミャンマー情勢の不安定さを背景に、国境地帯で国際的な犯罪組織が活動を続けている根深い問題を改めて示している。また、過去にこのKKパークを含むミャンマー国境地帯の詐欺拠点に、20人以上の日本人が監禁され、詐欺行為への加担を強要されていたとの情報が繰り返し伝えられてきた。
日本政府(外務省)も、これまでにタイ当局によって保護・拘束された日本人が複数いることを公表しており、未だ現地に留まっている日本人の安否が強く懸念されている。今回の流入してきた中に日本人がいたという情報は、今のところ確認できていない。
【編集:Ekkachai】
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