コカ・コーラ社がフィリピン市場で展開する180ml入りのスチール缶が、消費者の間で再評価されている。この少量パッケージは、特に東南アジア市場で一般的なサイズだが、同国では「炭酸が最後まで保たれている」という品質面での優位性が支持を集め、単なる低価格帯商品に留まらない独自の存在感を確立しつつある。


その他の写真:コカ・コーラ「180ml缶」

 日本で馴染み深い350mlや500mlのアルミ缶、あるいはペットボトルと比較して、180ml缶は一度に飲み切れるサイズ設計となっている。この「飲み切りサイズ」が、フィリピンのような温暖な気候の国々で、開封後の品質低下を防ぎ、「スカッとさわやか」な炭酸飲料の特性を最後まで楽しみたいという消費者の要望に合致していると見られる。

 また、現地で広く流通している大容量のペットボトル飲料は、しばしば飲み残しが発生し、炭酸が抜けやすいという課題があった。これに対し、180ml缶は密閉性の高いスチール素材と内容量の少なさから、高い炭酸維持率を実現。爽快感を重視するコカ・コーラ「オリジナルテイスト」のブランドイメージを、よりダイレクトに伝えることに成功している。

 同社は、フィリピンの多様な購買層と飲用シーンに対応するため、大容量ボトルからこの180ml缶、さらにはより少量・低価格帯のボトルまで、きめ細やかなパッケージ戦略を展開している。この少量缶の需要の高まりは、単なる価格訴求に終始せず、品質と利便性を両立させたパッケージングが、消費者行動を喚起する好例として注目される。
【編集:Eula】
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