2025年11月、ミャンマー東部カイン(カレン)州ミャワディ近郊に位置する巨大なサイバー詐欺拠点「KKパーク」をめぐり、ミャンマー軍事政権による摘発が進む中、犯罪組織がその追及を逃れるため、州内の他地域への拠点の移動・分散を加速させていることが判明した。

その他の写真:巨大詐欺拠点とされるKKパーク全容(タイメディアより)

 2025年10月下旬、ミャンマー軍事政権はKKパークに対し大規模な摘発を開始し、2,000人以上の外国人労働者を拘束・保護した。
保護された者の大半は中国人であったとみられている。以前にも、現地を管轄する少数民族武装勢力なども突入し、多数の外国人が解放されていた。

 この相次ぐ摘発の動きを察知した詐欺組織の首謀者らは、KKパークの施設を放棄し、活動拠点の移動を開始した。彼らは摘発の網から逃れるため、カイン州内の近隣地域であるシュエココ(Shwe Kokko)などの既存の犯罪拠点や、KKパークの南側で建設工事が進められていた新拠点へと活動の場を移している。軍事関係者によると、武装勢力の追及を逃れた中国系の犯罪グループが、この新拠点に移り住んだという。犯罪集団は移動後も詐欺活動を継続しており、KKパークなどに監禁されていた外国人(日本人を含む)も新拠点へ移動させられたと考えられている。ミャワディ周辺では、「ニュー大象パーク」と呼ばれる新たな詐欺拠点も建設され、犯罪グループが分散して活動を継続していると見られている。中国当局の圧力により、シャン州北部(コーカンなど)にあった詐欺拠点が閉鎖された後、組織はタイ国境沿いのカイン州に移転・拡大した経緯があり、今回も摘発を逃れるために国内で拠点を転々とさせている状況だ。

 これまでにKKパークなどの拠点から救出・保護された外国人は、累計で7,141人に上る。被害者の国籍は、中国をはじめ、インド、東南アジア、アフリカなど28カ国以上に及び、国際的な問題の深刻化を示している。主要な国籍別の内訳は、中国が4,860人と最も多く、次いでベトナムが572人、インドが526人、エチオピアが430人、インドネシアが238人などとなっている。日本人に関しては、外務省の発表によると、これまでにミャンマーとの国境周辺で保護された日本人は7人で、うち6人は帰国済みだ。
しかし、拠点には依然として20人以上の日本人が監禁されているとの情報もあり、救出活動が急がれている状況である。
【編集:Ekkachai】
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