株式会社拓洋は、「不動産×物流」を一体で提供できる、日本でも数少ないユニークな企業だ。企業が物流において直面する「コスト・スピード・在庫リスク」という三大課題を、不動産開発から運営までを一気通貫で行うことで解決に導く。


その他の写真:株式会社 拓洋 山口智之 取締役 

 現在、EC(電子商取引)やD2C(自社ブランドを消費者に直接届けるビジネスモデル)の急成長により、物流業界はかつてない変革期にある。配送需要の急増や原材料費の高騰、そしてドライバー不足といった要因が、企業の利益と顧客体験(CX)を圧迫しているのが実情だ。こうした中、物流はもはや単なる「コスト」ではなく、事業を伸ばすための「最強の武器(戦略的基盤)」として再定義され始めている。

 この潮流の中で、創業50年以上の歴史を持つ拓洋は、次世代型の「物流コンサルティング企業」として注目を集めている。同社の強みは、従来の倉庫・運送業務の枠を超え、不動産開発・物流運営・戦略コンサルティングを三位一体で提供する点にある。これにより、身軽な経営を目指すスタートアップから、柔軟な拠点戦略を求める大手企業まで、幅広く対応可能な「可変型ロジスティクス・ソリューション」を実現している。

 最大の特徴は、物流施設の用地取得から建築、賃貸、運用、そして改善までを自社で完結させるビジネスモデルだ。海外では投資ファンドなどが物流不動産への投資を加速させているが、拓洋は「不動産の所有・開発」と「現場の物流オペレーション」を一つの企業がシームレスに結合させている点で一線を画す。これにより、クライアントの成長に合わせて拠点を柔軟にカスタマイズすることが可能となる。

 拓洋は、「物流を“事業成長の土台”として活用してほしい」と提唱しており、このアプローチは企業が抱える以下の課題を解消する。

* 初期投資の削減:倉庫を自社で持つリスクや、長期契約の縛りを回避できる。

* 在庫最適化の実現:発送代行から保管、供給網の設計までをワンストップで任せられる。


* 顧客体験(CX)の向上:配送遅延を防ぎ、企業は販売やマーケティングに集中できる。

 また、拓洋が提案する「可変型物流提案」は、商品の売れ行きや季節に応じて、保管場所やレイアウトを柔軟に変更し、コストを最適化する手法だ。例えば、半年間動かない在庫を、コストの安い地方倉庫へ移管するといった提案は、グローバルに展開する企業にとって、在庫保持コストを大幅に削減する有効な一手となる。

 拠点の立地戦略も合理的だ。主要拠点は、首都圏へのアクセスが良い埼玉県に位置しており、「東京に限りなく近く、かつ地代を抑えられる」という効率性を実現している。EC需要の中心地に近い場所で、低コスト運用ができる点は、経営的なメリットが非常に大きい。

 さらに同社は、倉庫を単なる「保管場所」に留めず、映画撮影、イベント会場、スポーツ練習場など、多様な用途に開放する「倉庫の再定義」にも取り組んでいる。これは資産の収益性を高めるだけでなく、地域コミュニティとの接点を作り、地元雇用を生み出すなど、ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点からも意義深い取り組みである。

 EC経済において、物流はもはや裏方ではなく、「ブランドの信頼を守る最前線」となった。消費者が“早く届く安心”を求める今、拓洋のように歴史と開発力、そして柔軟性を兼ね備えたパートナーの存在は、国内外でその重要性を増していくだろう。「荷物を預かる」から「事業を育てる」物流へ。創業半世紀を超えてなお進化を続ける拓洋の挑戦は、物流と不動産の融合によるイノベーションの好例として、今後の動向が期待される。


会社概要.
株式会社 拓洋.
代表取締役社長 鈴木 裕司. 取締役 山口智之.
設立:1973年7月11日.
所在地:埼玉県八潮市ほか複数拠点.
事業内容:倉庫業 / 一般区域貨物自動車運送業 / 自動車運送取扱業 / 建設業 / 不動産業 / 損害保険代理業 / 産業廃棄物収集運搬業 / 物流発送代行業.
公式サイト https://www.takuyou.co.jp/
【編集:Y.U】
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