フィリピン空の旅で、快適な乗り継ぎ拠点はどこか。設備の新しさや規模だけで言えば、クラーク国際空港が頭一つ抜けているかもしれない。
しかし、肝心の国内線ネットワークの接続本数が少ないのが現状だ。実用性と利便性を兼ね備えた「最強のハブ」を選ぶなら、マクタン・セブ国際空港(以下、セブ空港)一択という状況は揺るがない。

その他の写真:マクタン・セブ空港・国際線ターミナル 

 そのセブ空港が2025年11月現在、乗り継ぎ動線を一新し、その地位を盤石なものにしている。

 特筆すべきは、ダバオやイロイロといった地方都市から、セブを経由して日本(成田など)へ帰国する際のルート変更だ。これまでのセブ乗り継ぎには、一つの「難所」があった。国内線で到着した後、一度ターミナルの外へ出て、蒸し暑い屋外を歩いて国際線ターミナルへ移動しなければならなかったのだ。南国の熱気は魅力的だが、帰国前の移動疲れには堪えるものがあった。

 しかし、その不便は過去のものとなった。現在は、国内線ターミナルと国際線ターミナルを繋ぐ「国際線乗り継ぎ専用通路」が本格運用されている。

 例えば、ダバオ発セブ経由成田行きのフライトを利用する場合、まず受託手荷物はダバオで預ければ成田までスルー(直送)されるため、セブでのピックアップは不要。身軽になった乗客は、セブ到着後に専用通路へと誘導される。ここには乗り継ぎ客専用の出国審査カウンターが設けられており、一般レーンの混雑とは無縁だ。
審査後はそのまま手荷物検査を受け、スムーズに国際線出発エリアへとアクセスできる。

 審査を抜ければ、そこはセブ空港が誇る「リゾート・エアポート」の世界だ。木材をふんだんに使用した温かみのあるアーチ天井の下、洗練されたショップやラウンジが並ぶ。マニラのような殺伐とした混雑もなく、移動のストレスも消滅した今、フィリピン地方都市への旅において、セブを経由しない理由は見当たらない。これからフィリピンを訪れる旅行者にとって、この劇的な進化は朗報となるはずだ。
【編集:EULA】
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