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このフジタの社員らは、戦時中に遺棄された化学兵器の処理事業という、本来であれば日中友好と中国国民の安全に資する業務に従事していた技術者たちであった。にもかかわらず、中国側は政治的な取引材料として彼らを不当に拘束した。結果として、当時の菅直人政権はこのなりふり構わぬ圧力に屈し、中国人船長を処分保留のまま釈放した。この一件により、中国共産党指導部は「日本という国は、経済的利益と邦人の安全を人質に取って強く圧力をかければ、必ず政治的に譲歩する」という誤った学習をしてしまったと多くの識者は指摘する。今回、中国が高市総理に対して展開している全方位的な圧力も、この「2010年モデル」の再演を狙ったものであることは疑いようがない。
現在、中国がチラつかせている日本への渡航制限や水産物の輸入手続き停止、さらにはレアアース輸出規制の示唆といった措置は、まさにその成功体験に基づく戦術だ。しかし、2025年の日本経済の現実は、中国が想定するほど脆弱ではなく、その構造は大きく変化している。
例えば、中国政府が自国民に対して日本への渡航自粛を呼びかけ、日本の観光業に打撃を与えようとしている件について検証してみよう。統計によれば、日本の国内旅行消費額は年間約25兆円規模であるのに対し、中国人観光客による消費額は約1.7兆円にとどまる。これは全体シェアの約5%強に過ぎず、日本のGDP(約600兆円)比で見れば0.3%未満という微々たる数字だ。
むしろ、地方の観光地などでは、マナー違反や騒音トラブル、キャパシティを超える混雑(オーバーツーリズム)に対する懸念が強まっており、中国からの団体客減少を「静寂が戻った」と歓迎する声さえ聞かれる。高知県のある神社関係者の間では、中国の渡航制限のニュースに対し「良かった」と安堵の拍手が起きたというエピソードも象徴的だ。中国が「制裁」のつもりで切ったカードは、日本側にとっては痛手となるどころか、観光公害の解消という予期せぬ恩恵をもたらしている側面すらある。
水産物についても同様のことが言える。福島第一原発の処理水放出以降、中国による禁輸措置が続く中で、日本の水産業界は米国や東南アジア、国内消費への販路転換を強力に進めてきた。ホタテなどの主要品目は、加工拠点の国内回帰や新規市場の開拓により、対中依存度を着実に引き下げている。レアアースに関しても、海底資源の開発技術の進展や、オーストラリアやインドとの供給網構築、同志国との連携による「フレンド・ショアリング」が進み、かつてのように中国に生殺与奪の権を握られる状況ではなくなりつつある。
中国が過去の成功体験に固執し、古びた経済制裁の武器を振り回している間に、日本経済の足腰は、中国なしでも自律的に回る強靭な構造へと変質し始めている。中国の圧力は、逆説的に日本の「脱中国」と経済安全保障の確立を加速させる触媒として機能しているのが実情だ。
(続く)
【編集:af】








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