【その他の写真:タイ イメージ】
報告書が示すところによると、タイの不平等は依然として高い水準にあり、過去10年間で増加傾向にある。所得面では、最も稼ぎの多い上位10%の富裕層が総所得の52%を占めており、これは総所得のわずか11%しか受け取れない下位50%の人々の合計所得の47倍にあたる。この所得格差の比率は2014年の42倍からさらに拡大しており、格差の拡大が長期的なトレンドであることを示している。
富の集中度はさらに深刻で、タイの富裕層上位10%が総富のほぼ3分の2(65%)を保有し、そのうちほぼ半分を最富裕層である上位1%が独占している状況だ。タイの所得格差の高さはかねてより指摘されており、裕福な20%が所得の約半分を得る構造に大きな変化は見られない。特に農業部門や労働市場のインフォーマルセクター(非公式部門)における貧困が、地域間の格差とともに問題の鍵を握っている。
不平等の拡大は経済的な公平性の問題にとどまらない。レポートは、格差が他の側面にも影響を及ぼしていることを示しており、たとえば世界の最富裕層上位1%は、下位90%の2倍の二酸化炭素排出量の責任を負っている。また、ジェンダー格差も顕著で、家事や介護労働を含めると女性は男性より長い時間を労働に費やしているにもかかわらず、その時給は男性のわずか61%に過ぎず、無償労働を考慮に入れると32%まで低下するという。
経済学界は不平等問題に長らく関心が薄かったものの、報告書に貢献したトマ・ピケティ氏の著作などのベストセラーを通じて、この問題への一般の関心は世界的に高まっている。報告書は、累進課税や年金、失業手当などの再分配政策を通じて格差削減に成功した国の事例を紹介している。一方で、超富裕層は自らの経済力を政治力に変え、こうした是正政策に対抗する動きを見せていることも指摘されており、タイを含む多くの国が直面する構造的な課題が浮き彫りになっている。
【編集:Ekkachai】








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