青木竜氏が創る「着るインフラ」とは？ 多店舗経営の質とブランドを守る最強の戦略

　フランチャイズ展開や多店舗経営を加速させる美容業界において、今、一つの「衣服」が経営の根幹を支える存在として注目を集めている。クリエイターの青木竜氏が手掛けるオリジナルユニフォームだ。単なる作業着の枠を超え、世界に通じるデザイン性と現場での動きやすさを融合させたその手法は、日本国内のみならず、アジア各国の経営者からも次世代のビジネスモデルとして熱い視線を送られている。

【その他の写真：青木 竜 氏】

　多店舗展開において最大の障壁となるのが、規模拡大に伴ってブランドの個性が薄まってしまうことだ。内装やメニューを共通化しても、現場スタッフの立ち居振る舞いや、ブランドが醸し出す空気感までを全ての店で統一することは極めて困難とされてきた。関東圏を中心にリラクゼーションサロンを展開するある企業は、十店舗を超えた段階でその壁に直面した。同じ看板を掲げながら、店舗ごとに顧客が受ける印象が異なるという危機感だ。その解決策として導入されたのが、青木氏のユニフォームであった。

　導入後、現場には劇的な変化が訪れた。青木氏の設計は、施術者の重心移動や腕が動く範囲、さらには備品の収納位置に至るまで、人間工学に基づき徹底的に計算されている。スタッフがその服を身に纏うだけで、自然と正しい動作へと導かれる仕組みだ。結果として、新人教育にかかるコストは大幅に削減され、どの店舗でも均一で高品質なサービスが提供される現場の規律が完成した。

　この取り組みは今、海外からも高い関心を集めている。急速な経済成長を遂げるアジア圏の美容業界にとって、日本の繊細なおもてなしを、いかに「誰でも再現できる仕組み」として取り入れるかは共通の課題だ。青木氏が提唱するのは、単なる制服作りではない。各企業の理念や現場オペレーションに合わせて、ゼロから設計を組み替えられる。店舗数が増えても揺るがない現場構造のデザインそのものである。この思想に基づいた洗練された外見は、加盟店募集の場においても強力な武器となっている。ある美容フランチャイズ本部では、ユニフォームをブランドの完成度を象徴するツールと位置付け、投資家や加盟検討者に対し、視覚的なインパクトとともにビジネスの成功しやすさを証明してみせた。

　これまで、ユニフォームは使い捨ての「消耗品」としてのコストと捉えられるのが一般的だった。しかし、青木氏のプロジェクトが証明したのは、それがブランドの価値を守り、教育の負担を軽くするための盤石な「設備投資」であるという事実だ。世界レベルの美しさと、現場を知り尽くした機能性。この二つを両立させた青木氏のアプローチは、人が価値を生むあらゆるサービス業において、今後のスタンダードとなるだろう。日本国内の経営層がこの「着るインフラ」を手にすることは、世界市場へ進出するための最強の装備を手に入れることに他ならない。サロン業界の枠を越え、日本発のビジネスデザインが世界を席巻する日は、すぐそこまで来ている。
【編集:Ｙ.U】