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今回施行されたタイ刑法のセクシャルハラスメントに関する改正法は、性的言動に対する社会的評価と処罰の基準を大きく見直した。最大の特徴は、身体的な接触がなくても、性的な性質を帯びた行為によって他者に不快感、羞恥心、恐怖、不安などを与えた場合に、処罰の対象となり得る点にある。加害者の意図や冗談のつもりであったかどうかは重視されず、受け手や周囲がどう感じたかが判断の中心となる。
改正法では、対象となる行為の範囲が明確に拡張された。具体的には、以下のような行為が対象とされる。
・言葉による行為
卑猥な言葉をかける、身体の特徴に関する性的な言及
・ジェスチャー
性的な意図をもってじろじろ見つめる、口笛を吹く
・ストーカー行為
相手が拒否しているにもかかわらずつきまとう、執拗に嫌がらせする
・コンピューターシステムを通じた行為
チャットメッセージ、SNSでのコメント(私信・公開を問わない)
こうした行為は、路上や飲食店、バーといった公共空間だけでなく、会社内、職場の休憩室、取引先との会合の場、さらにはスナックなどの酒席においても同様に適用され、場所を問わない。また、オンライン空間も対象となり、SNSのコメントや業務用チャット、私的メッセージであっても例外ではない。性別やジェンダーも限定されず、被害者は必ずしも言動の対象となった本人である必要はない。その場に居合わせた第三者が不快に感じた場合でも、問題が成立し得る点が改正法の重要な特徴である。
この改正法の下で、日本人が特に注意すべきなのは、日本の感覚のまま振る舞ってしまうことである。バンコクなどでは、日本人が集まり、居酒屋やスナックなどで大声で昨夜の女性関係を語る光景が今も見られる。
同様に、会社内においても注意が必要である。日本では職場の雑談や飲み会の延長として許容されがちな話題であっても、タイでは業務時間内外を問わず、性的な話題や外見への言及は厳しく見られる。冗談や軽口のつもりであっても、相手や周囲が不快に感じれば、それだけで問題が成立する。
話題にされた相手が実在するかどうか、本人がその場にいるかどうかは本質ではない。重要なのは、その言動が周囲にどのような感情を生じさせたかである。居酒屋での会話であっても、周囲の従業員が不快と感じれば、それだけで問題が成立し得る。また、日本人は声が大きく、身振りも目立ちやすいため、会話の内容が周囲の注意を引きやすい傾向がある。タイでは視線や距離感、場の空気そのものも含めて行為として評価される。
「日本では普通だ」「悪気はなかった」という説明は、改正法の下ではほとんど意味を持たない。むしろ、その認識自体が現地の法意識や社会感覚を理解していないと受け取られ、状況を悪化させる要因になり得る。
今後タイで求められているのは、自分の基準ではなく、相手や周囲の感じ方を基準に行動する姿勢である。会社内であれ、飲食店やスナックなどの酒席であれ、性的な話題は避け、外見や私生活に踏み込まず、少しでも迷いが生じるなら口にしない。その慎重さこそが、改正法の下で自らを守る最も現実的な対応だろう
日本人が関係する事件が増えている現在、在住者、観光客を問わず、常に敬意をもって振る舞うことが、タイで過ごす上で何より重要になる。
【執筆:そむちゃい吉田】








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