フィリピン南部ミンダナオ島の中心都市ダバオ。その南端に位置するトリル地区で、地元住民らの胃袋をがっちりと掴んでいる「庶民派ビュッフェ」が話題を呼んでいる。
店名は「Jc buffet」。看板に掲げられた「Healthy Food」の文字とは裏腹に、店内には力強い肉料理から繊細な和食まで、多種多様なメニューが所狭しと並ぶ。

その他の写真:2026年1月16日撮影

 最大の魅力は、その圧倒的なコストパフォーマンスだ。大人の食べ放題料金は、わずか295ペソ(約800円)。子犬は無料。物価上昇が続くフィリピンにおいて、1,000円を切る価格でこれほど充実した献立を楽しめる店は珍しい。

 ビュッフェ台の主役は、フィリピンの宴席には欠かせない豚の丸焼き「レチョン」だ。皮はパリパリと香ばしく、肉身はジューシーに焼き上げられた逸品で、シェフが目の前で豪快に切り分けてくれる。さらに、豚肉のトマト煮込み「メヌード」や、酸味の効いた「レチョン・パクシウ」など、現地の伝統的な家庭の味が並ぶ。

 特筆すべきは、日本食への注力ぶりだ。専用の「寿司バー」コーナーには、色鮮やかな巻き寿司が並ぶ。マンゴーをあしらった南国らしいロール寿司や、マヨネーズとソースが食欲をそそる日本でお馴染みの味付けまで、現地の好みに合わせつつも丁寧な仕事が光る。
また、野菜をふんだんに使ったお好み焼きや炒め物もあり、脂っこい料理の合間に箸休めを求める客に喜ばれている。

 店内は、茅葺き屋根を模した装飾や竹細工のランプが温かみを演出し、まるで親戚の家に招かれたような寛いだ雰囲気に包まれている。家族連れで訪れていた30代の男性は「この値段で寿司もレチョンも食べられるのは驚きだ。週末の家族の楽しみになっている」と満足げに語った。

 大規模なショッピングモールとは一線を画す、地域密着型の食の空間。フィリピン流のホスピタリティと、和洋折衷ならぬ「比和折衷」の豊かな食文化が、トリルの街を熱く盛り上げている。
【編集:Eula】
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