ダバオでの「1万円=3,660ペソ」(2026年1月4日)という悲報は、フィリピン滞在中の日本人コミュニティに戦慄を与えた。しかし、ここセブ・マクタン島の市場近くに佇む両替所の窓口では、ダバオとは少し異なる数字が電卓に弾き出されていた。


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 「3,750ペソ」への微増:ダバオでの衝撃から3週間提示されたレートは1万円につき3,750ペソ(2026年1月27日11時ごろ)。1月上旬のダバオと比較すると、1万円あたり90ペソの改善だ。セブンイレブンで冷えたコカ・コーラ(ペットボトル1.5L)1本分に相当する。わずかな差ではあるが、底を打ったかのような安堵感が漂う。

 激戦区マクタンならではの「市場原理」なぜ、ダバオより「マシ」な数字が出たのか。そこには地域特性が色濃く反映されている。観光客と地元住民が入り乱れるマクタン島の公設市場周辺は、小規模な両替商が密集する激戦区だ。地方都市の郊外に比べ、より市場原理に近いレートが提示されやすい。また、1月初頭の急激な円安トレンドが、1月末にかけてわずかに揺り戻しを見せていることも追い風となった。

 両替所の現金受け渡し窓口には「Verbal abuse... Unethical...(暴言や不当な振る舞いは厳禁)」といった警告文が掲示されている。かつては「日本円」を差し出せば歓迎された両替所も、今やレートを巡る緊迫した交渉の場であることを物語っている。受け取った1,000ペソ札の青い輝きは美しい。
しかし、かつて1万円で4,000ペソを優に超えていた時代を知る旅人にとっては、依然として「忍耐」の二文字が頭をよぎる結果であることに変わりはない。

 それでも、ダバオでの「3,660」という絶望を経験した後にこの「3,750」を目にすれば、それはまるでスコールの後の薄日のように、旅人の心を少しだけ軽くしてくれる数字だ。「これなら、今夜は少しだけ贅沢ができるかもしれない」Aさんは手にしたペソをポケットにしまい、活気あふれる市場の雑踏へと再び足を踏み入れた。
【編集:Eula】
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