フィリピンの南、ミンダナオ島の太陽を浴びて育った「白い至宝」が、地域の人々の健康を支えている。ダバオ市郊外、トリル地区の新興住宅地「デカホーム・ニュータウン(DECA HOMES MULIG)」のメインストリート。
色鮮やかな露店が並ぶ一角で、ひときわ濃厚な甘い香りを放っているのが、現地で「マラン」と呼ばれる果実だ。

その他の写真:イメージ(2026年1月28日撮影)

 見た目は南国特有のジャックフルーツに似て、表面には無数の柔らかい突起が密集している。店主に促されて手に取ると、熟した皮は驚くほど脆く、両手で簡単に割ることができた。現れたのは、雪のように白い果肉が整然と並ぶ神秘的な姿だ。その味わいはバナナやパイナップルを彷彿とさせつつ、カスタードクリームのように滑らかで、口の中で瞬時にとろけていく。

 価格は1キログラムあたり45ペソ、2キロ強の大きな玉を選んでも100ペソ(約385円)と手頃で、住民が気軽に買い求めていく。だが、この果実の真価はその味や価格以上に、驚くべき栄養価にある。

 マランは、熱帯の厳しい暑さで消耗した体に即効性のエネルギーを供給する天然糖分を豊富に含んでいる。さらに、現代人の悩みである高血圧を予防するカリウムがバナナに匹敵するほど含まれており、体内の塩分排出を促す役割を果たす。豊富に含まれる食物繊維は腸内環境を整え、ビタミンCやAが免疫力の向上と美肌維持を助ける。鉄分も摂取できることから、貧血予防にも一役買う「天然のサプリメント」とも言える存在だ。

 鮮度管理が難しく、収穫から数日で風味が落ちてしまうため、この贅沢な健康効果を最大限に享受できるのは産地ならではの特権といえる。
ダバオの住宅地に根付くこの白い果実は、今日も人々の心と体を健やかに満たしている。
【編集:Eula】
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