2026年2月、熱気を帯びたフィリピン・ミンダナオ島の中心都市ダバオ。市民の憩いの場である巨大商業施設「SMエコランド」の吹き抜けに、ひときわ眩い光を放つ一台の車が鎮座していた。
韓国・現代自動車(ヒュンダイ)が投入した「スターゲイザーX」である。旧正月の装飾が彩る華やかな館内で、地元の買い物客たちが次々と足を止め、吸い寄せられるようにその近未来的なフォルムに見入っている。

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 まず目を引くのは、その独創的なデザインだ。フロントを横一文字に貫くLEDデイタイムランニングライトは、まるで宇宙船のような先進性を漂わせ、街中のジプニーが霞むほどの存在感を放っている。かつてフィリピンの道といえば日本車の独壇場であったが、今やその牙城を脅かす筆頭がこの韓国メーカーであることを、人々の熱狂ぶりが雄弁に物語っている。

 展示車両のドアを開けて、驚かされた。後部座席のドアが、ほぼ垂直に近い90度近くまで大きく開くのである。これは家族を大切にするフィリピンの文化に寄り添った「神設計」といえる。大家族での移動が当たり前のこの国において、高齢者や子供が楽に乗り降りでき、かつ大きな荷物も難なく積み込める。実用性を極めたこの「おもてなし」の心は、まさに今の時代に求められている機能美であろう。

 車内に一歩足を踏み入れれば、そこには「豪華」という言葉が相応しい空間が広がっていた。シートの質感は驚くほど高く、人間工学に基づいた設計が体格のいい現地の大人たちをも優しく包み込む。
ダッシュボードに配された大型モニターや質感の高い内装材は、かつての韓国車のイメージを一新する。機能性と美しさが高い次元で調和し、長時間のドライブでも家族全員が笑顔で過ごせる快適な「移動リビング」が実現されている。

 展示コーナーの価格表を手に取ると、20%頭金のプランや各種キャンペーンの文字が躍り、所有への期待を膨らませてくれる。日本車メーカーが築き上げた信頼の土壌に、ヒュンダイは「洗練」と「冒険心」という新たな種を蒔いた。その芽は今、ここダバオの地で力強く成長し、新しい時代のスタンダードになろうとしている。

 利便性とデザイン、そして確かな造り込み。この三拍子が揃ったスターゲイザーXは、単なる移動手段を超えた、家族の誇りとなる一台に違いない。南国の太陽の下、ダバオの街を颯爽と駆けるその姿を想像するだけで、こちらの胸まで躍るような、そんな不思議な高揚感を覚えさせてくれる名車である。
【編集:Eula】
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