フィリピンでの昼食時、期待を込めて注文した一皿に、思わず絶句した。目の前に運ばれてきたのは、もはや「米」の体を成していない、無残な塊であった。


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 南国の外食産業において、主食である白米の扱いは驚くほどお粗末だ。現地を代表する外食チェーンでも、その実態は変わらない。炊飯時の加水量は常軌を逸し、米粒は原型を留めぬほどに潰れている。口に運べば、ねっとりとした不快な食感が広がり、米本来の甘みどころか、炊き損じの不快感に喉が詰まる。まさに「吐きそうになる」という表現が、大げさではなく現実味を帯びる瞬間である。

 現地の人気メニュー「シシグ」などの濃い味付けのおかずは、本来ならば米を進ませるはずの逸品だ。しかし、この「べちゃべちゃご飯」がすべてを台無しにする。唯一の救いは、色鮮やかなデザート「ハロハロ」の冷たさと甘さだけだ。紫芋のアイスや練乳の風味が、かろうじて荒んだ胃壁をなだめてくれる。

 なぜ、これほどまでに米の炊飯が軽視されるのか。現地のインディカ米は本来パサつきやすい性質を持つが、大量調理ゆえの雑な水分管理が、日本人の感性では許容しがたい「惨劇」を生んでいる。

 清潔な店構えや威勢の良い接客に惑わされてはならない。
フィリピンで納得のいくランチにありつくのは、至難の業である。食の満足を求める旅人にとって、この「米の壁」は、あまりにも高く、そして重苦しい。
【編集:af】
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