カンボジアの首都プノンペンの独立記念塔近くに北朝鮮大使館がある。まったく人気がなく、北朝鮮本国ならばカメラを持っているだけで逮捕されるだろうに、大使館は写真撮り放題だ。

そのとなりには、インドネシア大使館があり、こちらの警備要員の出入りは頻繁で厳重だ。

その他の写真:イメージ

 北朝鮮大使館前の掲示板には、2024年6月に行われた党中央幹部校竣工式で演説する金正恩総書記の写真と、1986年の学生の新年公演に登場した金日成主席の写真、2010年に金日成総合大学で元教授らと並ぶ金正日の写真が貼られていた。まるで時が止まっているような印象を受ける。

 ただこれには意味があって、血の流れこそが指導者の地位の条件だと誇示しているのだ。子は親を越えることは難しいとされているが、いつも笑顔のおじいちゃん、小さいけれど仕事できそうなパパ。どの影武者かわからない僕。並べたら逆に劣化が判明してしまう。それでも正当な血の流れなのだ。

 この三代の指導者のほかに、平壌の紋繍ウォーターパークや改装された地下鉄の駅、新都市である和盛地区の住宅が「現代的な文明」…こんな地上の楽園が北朝鮮であることを伝えている。どうして、生きている指導者の写真が2024年以降のものに変更されないのかは、誰にも問えない。問うたら粛清される。

 カンボジアと北朝鮮は、1964年に国交を樹立している。
当時のシアヌーク国王とお父さんはとても仲良しだった。1997年に当時のフンセン首相が韓国と国交を結ぶまでは平和だった。でも、街の北朝鮮料理店は繁盛していた。

 2019年の国連の北朝鮮制裁によって、派遣労働者は国に返された。北朝鮮料理店はすべて閉店を余儀なくされた。カンボジアでの北朝鮮不遇の時代が生まれた。
そうだろうか。蜜月は常に裏でも同時進行するものだ。北朝鮮は各国の暗号資産取引所から毎年数兆ウォン規模の暗号資産を強奪して、カンボジアや中国で現金化しているとささやかれている。資金洗浄、マネーロンダリング。
韓国人をターゲットにしたカンボジアの詐欺グループもまた資金洗浄に関わっているとアメリカやイギリスは警戒している。

 静かな大使館の中で何が行われているのか。
それは、本人だと何万回言われても影武者にしか見えない、北朝鮮の一番偉い人でもわかるまい。

【編集:fa】
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