フィリピン南部ミンダナオ島の中心都市、ダバオ市南西部に位置するトリル地区。古くから交通の要所として栄えるこの街の一角で、色とりどりの衣類が所狭しと並ぶ古着店が地元住民の熱烈な支持を集めている。
フィリピンで「ウカイウカイ」と呼ばれる古着の小売りは、生活費を抑えたい庶民にとって欠かせない存在だが、最近の物価高騰を受け、その需要はさらに高まりを見せている。

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 トリル地区にある店舗「クレイラス」では、店頭に「50」と大きく書かれた看板が掲げられている。シャツやズボン、ジャケットなど、あらゆる衣類が1枚50ペソ(約130円)という破格の値段で販売されており、開店直後から掘り出し物を探す人々で賑わう。山積みの商品の中からブランド品や状態の良いものを見つけ出そうと、買い物客の目は真剣そのものだ。

 一方で、多くの人々が密集する店内では、特有のトラブルへの警戒も怠れない。店内の目立つ柱には、黄色い背景に黒い文字で「スリに注意」と書かれた看板が設置されている。現地の言葉であるビサヤ語と英語で併記されたこの警告板には、カバンから財布を抜き取る犯行の様子がアイコンで分かりやすく描かれており、買い物に夢中になる客に注意を促している。

 店を訪れた女性客は「1枚50ペソなら、家族全員分を買っても家計を圧迫しない。混雑は怖いが、カバンをしっかり抱えて買い物を楽しんでいる」と話す。活気あふれる安売りの裏側で、自衛の意識を常に持ち合わせるのが現地の日常だ。たくましく生きるダバオ市民の姿が、そこには凝縮されている。
【編集:Eula】
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