タイ中部サムットプラーカーン県バーンサオトン郡で2026年2月9日正午頃、建設中だった首都圏電力公社(MEA)の訓練施設の屋根部分が崩落した事故で、地元当局は、現場に立ち入り禁止命令を出し、詳しい原因の調査を本格化させている。今回の事故では作業員4人が負傷し、そのうち1人が意識不明の重体となっている。


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 現地メディアの報道や関係者の話をまとめると、崩落したのは巨大なドーム型の建物で、鉄骨の枠組みを組み立てる作業が進められていた。事故当時、現場付近では急な天候の変化があり、施工を担当する大手建設会社「シノタイ」は、想定外の突風が構造物に強い負荷をかけたことが原因だとする見解を示している。しかし、専門家らでつくるタイ構造エンジニア協会などは、自然災害だけが原因とは断定できないとして、鉄骨を固定する接合部の強度が十分だったか、あるいは建設途中の補強作業が適切に行われていたかといった技術的な検証を進めている。

 また、事故発生直後に救助活動をめぐる混乱があったことも判明した。現場に駆けつけたボランティアの救助隊に対し、電力公社側が「政府機関の敷地内であり、内部で対応が可能だ」として一時的に敷地内への立ち入りを制限したという。これについて、人命救助を優先すべき現場での対応として、SNSを中心に国民から批判の声が上がっている。

 この建設プロジェクトは、総工費が約11億8500万バーツに上る大規模な事業だ。タイの野党議員からは、巨額の予算が投じられた国営企業の施設でこのような重大な事故が起きたことを重く見て、入札の過程や工事の安全管理体制に問題がなかったかを国会で追及する動きも出ている。

 現在、現場一帯はさらなる崩落の危険があるとして封鎖されており、技術者チームによる精密な構造診断が行われている。当局は、建設会社側に安全管理上の落ち度がなかったか厳しく調べる方針で、調査結果によっては工事の長期停止や罰則などの法的措置がとられる可能性もある。経済成長に伴う大型工事が相次ぐタイでは、建設現場での安全確保が改めて大きな社会的課題となっている。
【編集:af】
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