フィリピン南部ミンダナオ島の中心都市ダバオ。その郊外に位置するトリル地区の新興住宅地「デカホーム・ニュータウン」のメインストリートでは、夕刻になると食欲をそそる香ばしい煙が立ち込める。
住民たちが夕食の惣菜として買い求めるのは、フィリピンの国民食とも言える鶏の炭火焼きだ。

その他の写真:2026年2月13日撮影

 赤く塗られた屋台の軒先では、何羽もの鶏が串に刺され、真っ赤に火が熾った炭の上でゆっくりと回転している。滴り落ちる脂が炭に触れて弾ける音が、家路を急ぐ人々の足を止める。この店では、手軽な小サイズの鶏を100ペソ(約270円)、家族で囲むのに適した通常サイズを250ペソ(約680円)という手頃な価格で販売している。

 近年、ダバオ市街地の拡大に伴い、トリル地区のような郊外では大規模な住宅開発が加速している。かつては一面の緑だった場所に整然と家々が並び、周辺人口が急増したことで、こうした路面店も活況を呈している。

 店を切り盛りする青年は、手際よく焼き上がった鶏を切り分けながら、「夕食の準備を簡略化したい共働きの世帯や、仕事帰りの一杯のつまみに買っていく客が多い。毎日20羽から30羽は売れるよ」と笑顔を見せる。

 黄金色に焼き上がった皮のパリッとした食感と、炭火ならではのスモーキーな風味。経済発展が続くフィリピンの日常の風景の中に、変わらない伝統の味が息づいている。
【編集:Eula】
編集部おすすめ