【その他の写真:2026年2月16日午前撮影】
会場となったモールの中心広場には、早朝から龍や獅子の舞をひと目見ようと、家族連れや買い物客が何重にも人垣を作った。爆竹を模した音響が鳴り響く中、赤と黄色の鮮やかな衣装をまとった演者たちが縦横無尽に跳ね回り、観客から大きな歓声が上がっている。獅子舞が観客の頭に触れて幸運を授ける伝統的な儀式では、幼い子供たちが驚きながらも笑顔で手を伸ばす、微笑ましい光景が随所で見られた。
今回の式典で目を引いたのは、伝統的な中国の祭礼音楽を支える楽器の中に、日本の楽器メーカー、ヤマハ製のシンバルが使われていたことだ。写真を確認すると、鮮やかな赤い衣装で統一された演奏グループの一員が、YAMAHAのロゴがはっきりと刻印された合わせシンバルを手にしている様子が捉えられている。隣では別の奏者が太鼓を力強く打ち鳴らしており、その動きで姿がぶれるほどの熱演ぶりだ。獅子舞の躍動的な動きに合わせ、打ち鳴らされるシンバルの鋭く金属的な響きが、太鼓や銅鑼の音色と重なり合い、祭りの熱気を最高潮に高めていた。
中国の伝統的な祭礼において、日本の技術が生んだシンバルが重要な役割を果たしている様子は、多文化が共生するダバオの土壌を象徴的に示していたといえるだろう。
ダバオ市における旧正月は、単なる華僑社会の行事にとどまらず、今や市民全体の文化イベントとして定着している。背景には、歴代の市政が多文化主義を掲げ、異なる背景を持つ住民同士の交流を奨励してきた経緯がある。イベントを主催した施設関係者は、トリル地区のような成長著しい地域で、こうして伝統文化を共有することは、新旧の住民をつなぐ重要な役割を果たすと意義を強調した。会場内には旧正月に欠かせない伝統的な菓子「ニアンガオ(餅菓子)」を売る屋台や、赤い封筒「アンパオ」を手にした人々が行き交い、消費活動の活発さも印象づけた。
式典の後半では、地元の学生たちによる合唱も披露された。フィリピンの公用語であるタガログ語と中国語を交えた歌声が響き、観衆が手拍子で合わせる一体感は、この地域の持つ包容力を象徴していた。2026年の干支である「午」は、中国の伝統では情熱や進歩、そして力強い前進を意味する。急速な発展を遂げるダバオ市、そしてその象徴の一つであるトリル地区の現在の姿は、まさにその象意と重なり合う。
イベントは正午前にクライマックスを迎え、豪華な演出とともに幕を閉じた。モール内にはその後も余韻が漂い、多くの人々が伝統的な装飾の前で記念撮影を楽しんでいた。
市民一人ひとりの活気ある表情は、パンデミックを乗り越え、完全な日常を取り戻した社会の力強さを物語っている。トリル地区のGモールで開催されたこの旧正月イベントは、文化的な誇りと、それを支える多様な要素、そして地域社会の温かさが結実した、2026年を代表する象徴的な一幕として記憶されるだろう。
【編集:Eula】








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