ボホール島での定番観光を終え、次なる目的地シキホール島へ向かうべく、タグビララン港へと足を運んだ。今回の旅の主目的は、フィリピン伝統療法「ヒロット」の深淵に触れること。
しかし、ここでもまた移動の難所に直面することとなった。

その他の写真:国内外の旅行者で埋め尽くされたタグビララン港の待合所。不十分なアナウンスの中、乗客には諦めと疲労の色が濃い。

 シキホール行きの高速船が、予定時刻を過ぎても一向に出航する気配を見せない。実は現在、現地では深刻な燃料不足が影を落としており、船舶の運航スケジュールも大幅な減便を余儀なくされているのだ。さらに追い打ちをかけるのが、事前告知体制の不十分さである。欠航や遅延の情報が事前に共有されることは稀で、利用者は港に到着して初めて「足止め」の事実を知らされることになる。

 冷房の効きが十分とは言えない待合所での待機時間は、すでにかれこれ4時間に及んでいた。フィリピンの島間移動において、時刻表はあくまで「目安」に過ぎないという現実を、改めて痛感させられる展開だ。

 港は足止めされた国内外の旅行者でごった返し、静かな熱気の中に諦めと疲労感が漂う。運行状況に関する正確なアナウンスも乏しく、乗客たちはスタッフの動きに一喜一憂しながら、忍耐強く出発の合図を待ち続けていた。

 こうした予期せぬ停滞もまたフィリピン旅の一部と言えるが、限られた日程で動く者にとっては厳しい試練である。
神秘の島で待つヒロットの癒やしを糧に、今はただ、重い腰を上げる船の汽笛を待ちわびるしかなかった。

 だが、ようやく島に辿り着いた安堵も束の間、さらなる試練が待ち受けていた。事前に手配していたはずのホテルに到着すると、予約が確認できないという事態に直面したのだ。予約名が異なっていた可能性があるとのことだが、深夜の現地で対応に追われることとなった。

 ボホール島からシキホール島への移動は、最後の最後まで気の抜けないものとなった。燃料問題やインフラの不安定さといった「フィリピン旅の洗礼」は、強烈な印象とともに、旅の記憶として深く刻まれていくことになる。
【編集:「フィリピン盛り上げ隊」ヒロット大使・山口理津子】
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