2026年3月30日、ベトナムの航空各社が、新年度を迎える4月から国内線を中心に大幅な減便を余儀なくされている。背景にあるのは、深刻化するジェット燃料の供給不足だ。
ベトナムは一定の原油を産出しているものの、国内精製施設の能力が限られており、急増する航空需要に供給が追いつかないという構造的な課題が浮き彫りとなっている。

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 現地メディアによると今回の供給不足は、特に離島や地方を結ぶ路線を直撃している。国営ベトナム航空は4月1日から、国内線7路線で合計週23便の運航停止を決めた。具体的には、北部ハイフォン発着のブオンマートート線、カムラン線、フーコック島線、カントー線、およびホーチミン市発着のヴァンドン線、ラックザー線、ディエンビエン線が休止される。滑走路が短く小型機しか就航できないコンダオ島路線でも、燃料補給の制約から減便や機材変更が検討されている。代替交通手段が限られる離島では、住民生活や観光業への影響が避けられない。

 供給難の主因は、国内精製能力と需要のミスマッチだ。国内のギソン精製所とズンクアット精製所はガソリンや軽油の生産を優先しており、航空燃料の供給は十分ではない。これを受け、格安航空会社(LCC)のベトジェットエアも、4月中に国内線の運航能力を22%削減する計画で、ハノイ~カムラン線やホーチミン市~カットビ線、ホーチミン市~トオスアン線などの地方幹線でも大幅な減便が行われる。さらに、バンブーエアウェイズは1日あたりの運航数を通常の半分程度に絞る方針だ。不足分は中国やタイからの輸入に依存してきたが、両国が中東情勢の悪化を受けて精製燃料の輸出を制限したことで、ベトナムは調達先を急速に失った。国内需要の約70%を賄う精製所にトラブルが生じれば、全国的な供給不足に直結しやすい脆弱な構造も露呈している。


 さらに、離島空港への燃料輸送網の制約も状況を悪化させている。内航船による輸送能力には限界があり、精製所から離島の貯油施設までの供給が滞りやすい。政府は石油元売り各社に増産や輸入拡大を要請しているが、精製設備の拡張には長い時間を要し、即効性のある対策は見当たらない。

 専門家は、国内に一定の資源がありながら航空燃料を安定供給できない現状は、エネルギー安全保障上の大きな課題だと指摘する。今後は、持続可能な航空燃料(SAF)を含む国内生産体制の構築や、精製インフラの抜本的な強化が不可欠となる。空のインフラを支える供給体制のあり方が、今まさに問われている。
【編集:af】
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