フィリピン中部、神秘的な空気が漂うシキホール島でのヒーリングツアーは3日目を迎えた。この日訪れたのは、島の伝統療法を今に伝える拠点として地元で知られる「Bahay Pauhuli」。
ここでは、エネルギーの流れを整えるヒーリングをはじめ、祈りや呪文「オラシオン」、ハーブやココナッツオイルといった自然の恵みを用いた浄化・治療が行われている。

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 施術を担当してくれたのは、ヒーラーのJuanitaさん。木の温もりが感じられる素朴な室内で、彼女はまず私の両手をそっと取り、状態を確認するように静かに観察を始めた。続いて行われたのは、薬草の蒸気を浴びる伝統的な療法「Tuob(トゥオブ)」。全身を大きな布で覆われ、立ち上る香りに包まれながら、彼女は低く呪文を唱え、時折息を吹きかけるような動作を加える。さらに肩や首周りをやさしくマッサージし、再び手のひらを見つめたあと、すべてを見透かしたような穏やかな笑みを浮かべた。

 その後、不調を感じる箇所に対し、力強くも的確に圧をかけ、滞りを流すように整えていくフィリピン伝統のマッサージ「ヒロット」が行われた。施設内には多くの人々が訪れ、順番を待つ姿が見られた。一人ひとりに、アミュレット(お守り)を外さないように、あるいは翌日の再訪を勧めるなど、親身なアドバイスが行われていた。現地ではアミュレットのほか、ハーブやラナオイルなども用意されている。

 シキホールにおけるヒーリングは、何世代にもわたって受け継がれてきた民間療法である。施術者は「マナナンバル」と呼ばれ、カトリック信仰と先住信仰が融合した独自の体系を持ち、身体だけでなく精神やスピリチュアルな側面も含めて整える。
病気の治療だけでなく、悪いエネルギーから身を守ることや心身の浄化を目的としている。「魔女の島」として知られるが、実際には人々を癒し守る文化が根付いた場所であり、その独特な文化は観光資源としても注目され、フィリピンの伝統医療の一端として受け継がれている。今回の体験は、単なる観光を超えた貴重な文化体験となった。
【編集:「フィリピン盛り上げ隊」ヒロット大使・山口理津子】
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