日本の鉄道旅に欠かせない駅弁がいま、外国人旅行者の間で爆発的な人気を呼んでいる。かつては単なる移動中の食事であったが、現在は日本の食の多様性と美学を凝縮した体験型コンテンツへと進化を遂げた。


その他の写真:イメージ 2026年3月31日撮影

 京都駅の新幹線ホームなどでひと際注目を集めるのが、ジェイアール東海パッセンジャーズのブランド車窓食堂が展開する特製幕之内御膳(1600円)だ。最大の特徴は圧倒的な品数と、東海道の味巡りというコンセプトにある。

 江戸前を感じさせる東京の深川めし、香ばしい名古屋の鰻のせご飯、そして上品な関西のちりめん山椒ご飯。一つの折箱の中で、東京から名古屋、京都、大阪へと至る東海道の食の系譜を一度に味わえる贅沢さが、時間に制約のある旅行者の心を掴んでいる。

 外国人旅行者がまず驚くのは、その彩りだ。桜の花びらを模した麩や、色鮮やかなカボチャの煮物、タコの柔らか煮、焼き魚や海老フライといった主菜が、仕切られた空間に美しく配置されている。幕之内というスタイルは、芝居の幕間に食べる食事として発展した歴史を持つ。少しずつ、多種類をという日本独自の詰め方の美学がSNSを通じて世界に拡散され、訪日時の必須ルーティンとなった。

 駅弁の魅力は味にとどまらない。新幹線の座席で弁当を広げ、濃いめの緑茶とともに時速300km近いスピードで流れる景色を眺めながら食す。この体験そのものが、彼らにとってのハイライトとなっている。
【編集:af】
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