世界各国でフリーランスやクリエイターの働き方が広がる中、欧米やアジアでも制作現場の生産性向上が大きな課題となっている。とりわけ複数の案件を同時に進める業務では、制作スキルに加えて進行管理の重要性が増しており、その解決手段としてAIを活用した業務支援ツールへの関心が高まっている。


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 こうした流れの中、日本発のサービスとして注目を集めているのが、株式会社フリーカンパニーが展開する「TASKUL(タスクル)」である。同サービスは、Web制作に特化したAIタスク管理ツールとして開発され、フリーランスやクリエイターの業務効率化を支援することを目的としている。

 近年、Webデザインや動画制作などの分野では、個人で活動するクリエイターが増加している。しかしその一方で、クライアント対応や納期管理、見積作成、パートナーとの連携など、制作以外の業務負担が大きいことが課題となっている。特に複数案件を並行して進める場合、進行管理の複雑さがミスや遅延の原因となるケースも少なくない。

 TASKULは、こうした課題に対応するため、制作現場に必要な機能に絞った設計が特徴とされる。現在、多くのクリエイターはタスク管理、見積・請求、ドキュメント、生成AIといった複数のツールを行き来しながら案件を進めているが、TASKULはこれらの機能を一つの環境に集約することで、ツール間の移動や情報の分散に起因する時間的コストの削減を狙っているという。単なる作業リストの管理にとどまらず、案件の受注前から納品までを一貫して支援する仕組みが取り入れられている。

 開発の背景には、実際の制作現場で感じられていた不満がある。発起人である西宮裕記氏がフリーランスチームを率いていた経験から、「ソフトウェア開発者向けのタスク管理ツールは充実している一方で、Web制作者のワークフローに沿った、直感的に使えるツールにはなかなか出会えなかった」という問題意識が生まれ、それを解決する形で同サービスは誕生したという。制作スキルを持ちながらも進行管理が苦手な人材は少なくなく、企業とのやり取りにおいて納期遅延などが発生する要因の一つとなっていた。

 TASKULの中でも注目されるのが、AIによる要件整理とタスク分解機能である。
例えば、チャットツールで受け取った曖昧な依頼文を入力すると、AIが内容を解析し、必要な工程ごとのタスクへと自動で分解する。さらに、スケジュールやカレンダーへの登録まで行われるため、従来必要だった手作業の工程を大きく削減できるとされる。

 また、外部サービスとの連携も特徴の一つとなっている。Googleカレンダーとの同期に加え、LINEやSlackといった日常的に利用されるツールとの連携により、タスクの見落としを防ぎやすい環境が整えられている。通知機能を活用することで、日々の業務確認の負担軽減にもつながるとみられている。

さらに、TASKULは個人のタスク管理にとどまらず、パートナー管理機能も備えている。フリーランスが関わる外部スタッフの情報を整理し、「誰にどの業務を依頼できるか」を把握できる仕組みが整っている。これにより、個人単位では対応が難しい案件にも柔軟に対応できる体制を構築しやすくなるとされる。

 利用者からは、業務の効率化を実感する声も上がっている。全体の進行状況を一目で把握できる点や、チャットから直接タスク化できる利便性、通知機能による確認漏れ防止などが評価されている。従来、表計算ソフトやメモで管理していたユーザーにとっては、作業の整理にかかる時間を削減し、本来の制作業務に集中しやすくなる効果があるとみられる。

 TASKULの運営は株式会社フリーカンパニー、開発は同社が手がける制作事業『KUROCO CREATION』が担っている。
数千件の制作・開発実績を持ち、上級フリーランスを活用した制作体制で知られる同事業では、CSO兼事業責任者の西宮裕記氏と、プロダクトマネージャー兼クリエイティブディレクターを務める山田萌子氏を筆頭に、Web制作の現場で実務にあたるメンバーが多数参画している。制作現場特有の課題に対する解像度の高さが、TASKULの実用性を支える要因の一つとなっている。

 AI技術の進展により、制作業界では業務の進め方そのものが変化しつつある。単純作業の一部は自動化が進む一方で、クリエイターには複数案件を効率的に管理する能力がより強く求められるようになっている。こうした状況において、TASKULは業務基盤としての役割を担う可能性を持つツールとして位置付けられる。

 制作現場から生まれたこのサービスが、今後どこまで普及し、新たな標準として定着するのか。その動向に注目が集まっている。
【編集:Y.U】
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