【その他の写真:皮肉の効いたコメディで政権批判を行うのはミャンマーの人権活動の伝統的手法だ(ヤンゴン、撮影:北角裕樹)】
集会は、ヤンゴン中心部のマハバンドゥーラ公園で開催。詩人で人権活動家のサウンカーさんが、NLDを象徴する肌色の上着の上から軍服を着こみ、棒状に丸めた国営新聞の新聞紙で、取材する記者らを殴るパフォーマンスを披露した。NLDと国軍と情報省が一緒になって報道機関を弾圧していると示唆するコメディで、詰めかけた約100人の記者らから苦笑いの声が上がった。
背景には、2016年の政権交代でスーチー政権になっても報道の自由が改善せず、「むしろ取材がしづらくなっている」という記者らの不満がある。ミャンマーでは、ロイター記者が有罪された英植民地時代に制定された国家機密法に加え、インターネットでの中傷などを広範囲に禁じる電気通信法、武装勢力を取材していた地元記者が逮捕された非合法結社法など、報道機関の弾圧に利用されかねない多くの法律が存在していると批判されている。ある報道関係者は「ロイター通信は国際的報道機関で、逮捕された2記者は注目されているが、ほかにも多数の地元ジャーナリストがNLD政権の下で逮捕されている。新政権で報道の自由は狭まっている」と指摘する。
一方、スーチー国家顧問は13日、訪問先のベトナム・ハノイでロイター事件に関し「表現の自由とは関係がなく、国家機密法違反に問われたものだ」と発言して、内外の記者を失望させた。政権交代が実現した2015年の総選挙ではミャンマーのマスコミはこぞってスーチー氏やNLDを支援する記事を書いたが、その熱狂は今、失意に変わろうとしている。
【取材/執筆:北角裕樹】








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