20~140ミリリットルの血液が、細い子宮口から外に出る
日本産婦人科学会によると、1回の生理で排出される血液は20~140ミリリットルとされています。これを子宮が収縮することによって、子宮口から外に出すのですが、子宮口はストローの穴より細いため、これだけの量の血液を外に出すためにはある程度の日数が必要です。そのため、生理が何日にもわたって続くことになるのです。
ちなみに、血液といっても、もとは不要になって剥がれ落ちた子宮内膜。それがサラサラの血液として排出されるのは、酵素の働きによって分解されるから。時々、レバーのような塊が出るのは、酵素の分解が追いつかずに固形の形で排出された子宮内膜の組織です。1~3センチ程度であれば心配ありません。
早く終わりすぎるのは「過少月経」の可能性が
正常月経の場合、生理の期間は3~7日。生理が2日以内で終わってしまうことを「過短月経」といい、生理で排出される血液量が少ない「過少月経」とよく一緒に起こります。過少月経の場合は、子宮の発育が悪い子宮発育不全や、結核性の子宮内膜炎、子宮癒着症、黄体機能不全、無排卵月経などの可能性があります。
生理が早く終わるのは楽だし、一応生理が来ているので、生理が短いことは気にしない人が多いのですが、妊娠を希望するなら治療が必要になる場合もあるので、婦人科を受診しましょう。また、更年期が近づくと、経血が少なくなったり、出血期間が短くなったりしますが、ホルモンバランスの乱れによって、更年期のような症状が30代から出る場合もあります。
出血が8日以上続くなら「子宮筋腫」の可能性も
反対に出血期間が長く、8日以上もダラダラと続く場合は「過長月経」といわれます。生理の長さは個人差が大きいので、8日以上であれば必ずしも異常というわけではありません。ストレスによって出血期間が長くなることもあります。
ただ、1時間以内にナプキンを取り換えないと経血がもれてしまうとか、貧血がひどい、鶏卵サイズの大きなレバー状の塊が出るといった場合は、出血量が多い「過多月経」の可能性があります。過多月経の原因としては、子宮筋腫や子宮腺筋症、子宮内膜症、子宮がんなども考えられるので、婦人科を受診しましょう。
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子宮筋腫ってどんな病気?
子宮筋腫はどのようにしてできるのでしょうか? その仕組みをご紹介します。
子宮の筋肉の中に発生して成長したコブが筋腫
子宮筋腫とは、平滑筋という筋肉から発生する、境界がはっきりした良性のコブのことです。筋腫は子宮以外にも、胃の筋層や皮膚、卵巣などにもみられることがあります。
子宮筋腫は、子宮の筋肉である「子宮筋層」の中にできる場合、子宮の一番外側を覆っている「漿膜(しょうまく)」の下にできる場合、「子宮内膜」のすぐ下にできる場合があり、できる場所や筋腫の数、大きさなどによって症状が変わってきます。
子宮筋腫ができる原因はまだ解明されていない
女性ならば誰もが子宮筋腫が発生する可能性があります。
広尾メディカルクリニックの斎藤敏祐先生に、この“ホルモン説”についてお伺いしたところ「よく言われていますが、まだ医学的根拠はありません。残念ながら筋腫ができる原因については解明されていないのが現状です」とのこと。動物にエストロゲンを大量に投与した実験では、子宮筋腫はできなかったという結果もあります。
子宮筋腫のもとは、胎児期にでき上がっているという説も
子宮筋腫のもとは、実は胎児期からできあがっているのではという仮説があります。胎児期に未分化な子宮の平滑筋が、分化を繰り返して子宮になる過程でなんらかの影響を受け、筋腫の芽になる細胞ができるのではないかという考え方です。この筋腫の芽が、思春期から増えてくる女性ホルモンの影響を受けて、子宮筋腫に成長していくのではと考えられています。
ヘルスケア-子宮筋腫とは?30~40代は筋腫の危険年代 大きくなると手術も
こんな症状があったら子宮筋腫かもしれません
次のような症状はありませんか? もし思い当たることがあるようなら、子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)かもしれません。
・健康診断で今まではなかった貧血がわかった
・おなかに圧迫感を感じるようになった
・下腹部にしこりを触れる
・尿が近くなった
・便秘がちになった
・月経(生理)が長引く
・月経血にこれまでなかった血の塊が混じるようになった
・月経時は昼でも夜用の生理用品を頻繁に交換しなくてはならなくなった
ヘルスケア-子宮筋腫はこんな病気です