毎日のように使う調味料である、醤油。大豆と小麦を原料としており、肉や魚など、さまざな食材に合うことから万能調味料といわれます。
醤油はそもそも発酵食品ですが、腐ることはあるのでしょうか。キッコーマン株式会社(以下、キッコーマン)に取材しました。
醤油は腐りにくい!
醤油の腐敗についてとキッコーマンに聞くと、「基本的には腐りにくい」といいます。
醤油は保存がきく食品であるため、賞味期限をすぎてもお身体にさわることはありません。
ただし賞味期限をすぎてしまうと、本来のおいしさを味わっていただくことが難しくなりますので、なるべくお早めに召し上がりください。
また、異物や著しいにごりが発生していたり、味や風味に異常を感じられたりした場合は、腐敗が生じている可能性があるため、ご使用をおやめください。
ちなみに、賞味期限は袋や容器を開封しておらず、正しく保存した上での『おいしく食べられる期限』。期限を多少すぎても、すぐに食べられなくなるわけではありません。
消費期限は袋や容器を開封しておらず、正しく保存した上での『安全に食べられる期限』。消費期限をすぎた場合は、食べないようにしてください。
また、腐敗と発酵の区別については、一般財団法人 食品分析開発センターSUNATECがこのように述べています。
腐敗と発酵の区別は、食品や微生物の種類、生成物の違いによるのではなく、人の価値観に基づいて、微生物作用のうち人間生活に有用な場合を発酵、有害な場合を腐敗と呼んでいるのである。
腐敗と発酵、腐敗と食中毒はどう違うのか? ーより引用
ではなぜ、醤油は腐りにくいのでしょうか。
塩分が高い
醤油には約15~17%の塩分が含まれており、細菌やカビが繁殖しにくい環境になっています。
微生物を取り除いている
醤油は、火入れ処理(加熱処理)や精密な膜でろ過することにより、微生物を殺菌あるいは除去しています。
そのため、微生物による変化が進まないように処理されているのです。
アルコールや有機酸が作用している
醤油にはアルコールが含まれており、これが保存性を高める役割を果たします。乳酸などの有機酸も含まれ、雑菌の繁殖を抑制しているのです。
アルコールについては、醤油の発酵によって生まれたアルコールと、さらに後から添加しているアルコールがあります。添加している場合には、ラベルの原材料表示に『アルコール』と表示されています。

※写真はイメージ
おすすめの醤油の保存方法
醤油を保存する際、どのような点に注意すべきでしょうか。キッコーマンによると、醤油の開栓後の保存に適した温度、使用期間の目安は次の通りです。
・ペットボトル:約4℃の冷蔵庫保存で約2か月。
・(※)やわらか密封ボトル(200㎖・330㎖):常温保存で約90日間。
・(※)密封ecoボトル(450㎖・620㎖):常温保存で約120日間。
※いずれも開栓後に鮮度を保つ期間は商品により異なります。
※使用状況や保存状態は家庭により異なるため、あくまでも目安です。また、『開栓後の使用期間目安』は、賞味期限内であることを前提にしています。
キッコーマンによると「容器がペットボトルの醤油は、一度開栓して空気に触れると、色が黒くなり風味も落ちてしまうので、冷蔵庫での保存がおすすめ」といいます。
続けて、『いつでも新鮮』シリーズについては、以下のアドバイスがありました。
『やわらか密封ボトル』や『密封ecoボトル』を使用している『いつでも新鮮』シリーズの商品は、開栓しても醤油が空気に触れない二重構造のボトルのため、常温保存をおすすめしています。
『いつでも新鮮』シリーズの商品も、冷蔵庫で保存しても醤油そのものの品質に問題はございません。
しかし、プラスチック製の精密な構造の容器のため、冷やされることで予期せぬ不具合が発生する可能性があります。
そのため年間を通じて、開栓後も直射日光を避けた常温での保存をおすすめしています。
醤油は基本的に腐りにくいとのこと。
キッコーマンからのアドバイスを参考に、正しく保存して風味のよい状態で料理に使いましょう。
[文/高橋モータース@dcp・構成/grape編集部]